令和のオイルショック「原油価格」高騰のワケとは?元ゴールドマンFMが考察
投資不足で原油増産できないエネルギー企業
その背景には、温室効果ガス排出量の削減を求める世界的なムーブメントもある。
「CO2排出量の大きな化石燃料から再生可能エネルギーへの世界的なシフトが進んだ結果、原油生産に対する投資がストップし、資材価格の高騰を受けて保守作業も行われずに放置されているケースが多い。今や世界一の産油国である米国も速やかに増産できる体制にない。米石油大手のエクソンモービルなどを見れば明らかなように、脱炭素化技術への投資に集中していますから。
OPECプラスは少しずつ増産を続けていくと予想されますが、再生可能エネルギーで多くの需要が賄える体制が整わない限り、供給不足が完全に解消されることはありません。米エネルギー情報局は2022年に需給が緩和するとの見通しを発表しましたが、旺盛なエネルギー需要を考えると原油価格の調整は限定的と見ています」
原油100ドルの大台突破を予想
そのため、マーケットでは2022年にかけて1バレル=100ドルの大台突破を予想する声が増えている。天然ガスの先物価格が一時的に、原油換算で200ドルを突破したこともあって、原油価格の200ドル到達も突飛な予想ではなくなっているという。
足元では国内のガソリン価格が7年ぶりの高値をつけたが、もう一段の上昇が濃厚。令和のオイルショックにご用心!
<まとめ>
・再エネシフトで増産進まず、原油100ドル突破が濃厚
<取材・文/¥SPA!編集部 図版/ミューズグラフィック>
【アミン・アズムデ】
クリプタクト代表取締役。’04年にGS入社した後、ファンドマネジャーとして活躍。退職後、同僚と投資SNSや仮想通貨損益計算サービスを提供するクリプタクトを創業。共著『ゴールドマン・サックスで2000億円を運用していた機関投資家が教えるプロの投資』
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