「天才てれびくん」から夜の世界に 。月給8万円の底辺ホストが売上No.1になるまで
奨学金と借金を返すためにホストの道へ
中学2年生でてれび戦士を卒業したあとも高校、大学と芸能活動は続けていたルイさん。演技が好きだったため、舞台俳優を中心に活動していた。しかし、「この仕事だけで食べていくのは難しいだろう」と現実的なことも考え始めるようになった。
「中学3年生のときに父が急死しました。突然倒れてそのまま……。専業主婦だった母が1人で4人の子どもを育てざるを得なくなり、常に金銭的な余裕はなかったんです。大学2年生のときには奨学金だけでなく、生活費の借金も抱えるようになってしまったため、芸能事務所に所属しながら、お金を稼ぐためにホストを始めることにしました」
しかし、「ホストクラブは怖そうなところ」というイメージがあり、不安な気持ちは大きかった。友だちが働いているお店に応募したものの、いかつい人が出てきて奥へ連れて行かれたらどうしよう、とドキドキしながら面接を受けた。
オーナーの期待に応えたく、ホスト1本に
「話を聞いたら、全然そんなことはなくて。オーナーから、ホストクラブは『どういうところなのか』『何をするのか』『どんな人が働いているのか』など、 一から十まで丁寧に説明してもらい、不安に思うことを相談したらすぐに返信をくれました。ここならきっと、安心して働けるだろうと思い入店したのが、今の店舗です」
ホストはすぐに稼げると思っていたものの、現実は甘くなかった。入店後の1~2年はまったく人気がなく、売り上げの少ないホストの仕事である「店内の掃除係」をずっと担当していた。給料は8万円ほどで、日中アルバイトしている大学生と変わらない金額だった。
「今考えると、当時は大学と芸能活動とホストの3足のわらじだったので、どれも中途半端になっていたんです。真剣にホストをやろうと思ったのは、オーナーに『稼げないからホストを辞めたい』と伝えたときです。 あっさり辞めることになると思いきや、『本気で取り組んでみて、それでも無理だと思ったら辞めたら?』と返されました。
オーナーは僕が順位が低くて売り上げがなくても、毎日ごはんをおごったり売れるためのアドバイスをしてくれたりしていました。僕を見捨てず期待してくれるオーナーの思いに応えたいと思い、大学も芸能事務所も辞めて、本気でホストと向き合うことにしました。そうしたら少しずつ順位が上がっていったんです」