住宅街に出現した「黒い箱」…実は個室焼肉店。気になるお味と“誕生の経緯”を聞いた
美味しさの秘密は「職人の手切り」
安価で美味しい肉を提供する秘密についても島氏に聞いた。
「良い肉を使っているのはもちろんなんですけど、こだわっているのは切り方です。肉には目の流れ(順目と縦目)というのがあるんですが、それは機械では見きれない。うちではすべて専門の職人が手で切っています」
筆者も実食して、大衆的な焼肉店ではなかなか感じられない「肉の滑らかさ」を感じた。その秘密は「手切り」にあったのだ。さらに、肉の保存方法も他店と差別化されていた。
「うちでは、肉を切った後すぐに瞬間冷凍してすぐに真空パックにするんです。家庭の冷蔵庫などでお肉を保存していると出てくる赤い血液のような液体がありますよね。あれをドリップというんですが、実はあの中に旨味が入ってるんです。なので、お肉の美味しさも失われていく前に瞬間冷凍して真空パックにすることで、旨味を旨味のままで保存できます。これはcoolasという特許申請中の保存方法です」
この技術を使って、調理前の肉のテイクアウトも行なっており、こちらも好評を博しているようだ。
過度に汚されたことは1度もない
完全プライベート空間になる個室内。店員の目がないことで、過度に汚されたりすることはないのか。
「私たちも、汚されたり、壊されたりすることは懸念していました。でも意外なことに、今のところ1度もそういうことがないんです。個室なので閉鎖された自分たちの空間が汚れるのが嫌なのかなと推測しています」
「空間を借りて返却する」というようなスタイルのため、責任感が生まれることも背景にはあるのかもしれない。