住宅街に出現した「黒い箱」…実は個室焼肉店。気になるお味と“誕生の経緯”を聞いた
全店休業から個室焼肉の発想が
一体、どんな発想からこの個室焼肉が誕生したのか。広報担当の島氏は次のように話す。
「大阪で普通の焼肉店を4店舗やっているんですが、コロナの影響で全店休業せざるを得なくなりました。そのころ、テイクアウト需要の広がりを受けてキッチンカーが流行っていたんですよ。その流れに乗って、私たちは『テイクアウトではなくその場で焼肉を食べてもらおう』と。この個室、実はキッチンカーのシェル(荷台部分)なんです」
世界初となるスタイルの焼肉店を開業するには数々のハードルがあったという。
「まず、水道が使えない。つまり洗い物が出せないってことがわかったんです。ガスもキッチンカーの場合だとシェルの中では使えないんですが、この個室はキッチンカーとしての営業許可ではないので、法律的にセーフかアウトかさえも決まりがなくて、専門家の方と相談を重ねました」
設備投資は1600万円。なぜ利益が出る?
筆者が気になった紙や発泡スチロールの容器も、水道が使えない点をクリアするためのアイデアだったのだ。また、水道が使える手配を整え、12月からは使い捨て容器の使用も止める予定だという。
水道やガスという、飲食店としては基本となるインフラ面で困難にぶつかった個室焼肉。経営側としては設備投資が安く済むかと思ったが、そうした難局を乗り越えるうちに、1箱300万円もかかり、それが調理室も含め5箱で1600万円近くにものぼったのだそう。
しかし、経費面については「ランニングコストはとても安いです。駐車場を借りている状態なので、1箱2万円で月10万。これは、このあたりの飲食店の家賃に比べたらかなり安く上がってます」と島氏は言う。