住宅街に出現した「黒い箱」…実は個室焼肉店。気になるお味と“誕生の経緯”を聞いた
他人との接触が忌避されるようになったコロナ禍。その中で、完全プライベート空間を提供する「個室焼肉」なるものが誕生し話題を呼んでいる。東京都江東区、ファミリー層が多く暮らす住宅街を進むと、ナゾの黒い箱が置かれているエリアが。
まさか焼肉店だとは思えないような外観だが、ここが2021年10月10日にオープンした「個室焼肉じゃけぇ 二之江店」だ。実際に食べて体験したうえで、「個室焼肉じゃけぇ」の広報担当・島裕聖さんに話を聞いた(取材は11月22日)。
扉を開くと意外と広い空間が
受付を済ませ、早速個室に案内される。1箱の店員は6名だというが、外から見るとかなり小さく見える。しかし、扉を開けて中を見てみると意外にも広い空間が現れた。中央にある無煙ロースター付きのテーブルが存在感を放つが、確かに6人座れる仕様になっている。
筆者は身長184センチと大柄なほうだが、箱の中に入っても窮屈さはそれほど感じない。注文したのは、11月中旬から始まったというコースのうち「宴会コース」。肉類はタン・ハラミ・カルビ・テッチャン・鶏モモ・ソーセージで合計300g近く。そこに、サラダとキムチ、デザートのアイスがついて、さらにライスとスープは食べ放題。その上、アルコールの飲み放題までついて4500円だ。
注文してすぐに運ばれてきたサラダとキムチをアテにしながら、生ビールを流し込む。独立した個室なので、一般の飲食店のようにBGMはないが、傍らにテレビがあるので耳寂しさはない。むしろ、同程度の価格帯のファミリー向け焼肉店で感じられるような、周囲のガチャガチャしたうるささがなく落ち着ける。
特異な空間で食べる焼肉、果たしてその味は?
そしていよいよ、肉が到着。料金はかなり安いが、肉が薄かったり小さかったりということはなく、焼く前から見た目にも満足感のある量。安い肉だと焼いた時にパサパサになりがちなタンも、こちらは焼いてもしっとりして肉汁も滲み出てくる。
オススメは、カルビとハラミ。柔らかいだけでなく滑らかな口当たりが特徴的で、噛んでいてもジューシーさが失われない。甘めのタレがよく合っていて、飲み放題の生ビールがガンガン進むし、カルビはキムチとともにご飯に乗せれば後悔するほど食べられそうだ。
当然高級店の肉に比べられるものではないが、テッチャンや鶏モモもジューシーで、気軽に食べに行く焼肉としてはかなり美味しい部類に入るはずだ。
1点だけ気になったのは、すべてのメニューが紙や発泡スチロールの容器で提供されること。せっかく美味しい肉が安っぽく感じられるし、現代に必要なSDGsの観点からも後進的であると言わざるを得ない。しかし、それを加味してもこの値段で十分に満足でき、周囲を気にせず焼肉をいただけるのは、とても貴重だ。