「今さら無理…」働かないおじさんは、なぜ生まれるのか?出世レースから外れた人たちの本音
本人だけでなく周囲もサポートする
その企業では、受講者の7割が翌年にはミドルパフォーマー以上の評価を受けることになりました。残念ながら3割の方は成果や改善が不十分で処遇を下げることになりましたが、会社の本気度と改善のチャンスをもらったこともあり、その措置に納得していました。
このケースがうまくいったのは、人事や上司が本気で向き合ったのが大きなポイントでした。人事部長が直々に厳しくも率直な通達をするのは異例なだけに、会社側の本気度が伝わりました。また、上司も「この年上部下に、どうなってほしいのか」を真剣に考えたうえで手紙を書き、研修後は3~6か月の間毎週面談を行いました。
費やされた時間とエネルギーは大変なものになりますが、その労力をかけてでも、本気の期待と危機感を会社側が伝えたのも成功要因だったのでしょう。
不確実性の高い時代に何ができるか
こうした事例は、どの企業でも発生する可能性があります。VUCA(ブーカ)やコロナ禍に代表されるような、先の見えないこの時代、「自分たちの仕事は永久に保証されているわけではない」「今の職務や役割が消滅する可能性はある」「環境が急変しても食いっぱぐれないためのスキルは何か」などを、社員にも平時から考えておいてもらうことが大事です。
はしごを外したくて外す企業はありません。厳しい変化の中で企業が存続するうえで、仕事や役割の急激な変化や消滅は決して他人事ではないのです。
そのことを本人も、上司も、人事も自覚しながら日々の仕事を通じて能力開発やキャリア形成に努めていく姿勢が必要になります。
<TEXT/ミドルシニア活性化コンサルタント 難波 猛>