「今さら無理…」働かないおじさんは、なぜ生まれるのか?出世レースから外れた人たちの本音
「働かないおじさん」と言えば、かつては「1日中新聞ばかり眺めて仕事をしない」「営業に行くふりをして社用車で居眠り」といったイメージがありました。しかし、最近は「真面目にコツコツ」働いている人まで「働かないおじさん」扱いされてしまうそうです。一体、なぜなのでしょうか?
これまで2000人を超える中高年のキャリア開発に携わってきた筆者(難波猛)が、著書『「働かないおじさん問題」のトリセツ』(アスコム)から、実際の事例を交えつつ、「働かないおじさん問題」のリアルな現実について解説します。
働かない「Windows2000」な人とは?
「働かないおじさん」に近い意味で一時期ネットの話題になった「Windows2000」という言葉があります。「年収2000万円をもらっている窓際族」という意味だそうで、誰もが知っている有名なOSのことではありません。
日本では若手時代の給与を低めに押さえ、勤続年数とほぼ比例して大きく上がる賃金形態を採用している企業が少なくありません。
このような賃金形態の会社の場合、ミドルシニアの社員が給与の伸び以上の成果を上げられないと、報酬と成果にギャップが生まれてしまい、「働かないおじさん」や「Windows2000」のような問題が顕在化してしまいます。
働かないおじさんを生まれ変わらせる
ここからは、私がコンサルティングを実施した企業で、実際に「働かないおじさん」がいきいきと働き出した事例をご紹介します。
A社では、2年以上連続して最低評価になっている50代の営業職を集め、改善に向けて3日間の研修をお手伝いしました。実施の背景としては、法改正や業界の環境変化により、営業活動の変革が必要となっていました。
会社としては強い危機感を持ち、賃金体系や求められるコンピテンシー(行動特性)を変え、今まで以上に「新しい環境で成果を創出してくれる人には高く報いる」「成果の創出が難しい人には処遇が厳しくなる」というメリハリを利かせた方向に舵を切っていました。