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住宅ローン減税縮小案で、買った人は「今よりいくら損するのか」を検証

コラム

 岸田文雄政権下で、2022年度にも住宅ローン控除の“改悪”が行われると話題になっています。住宅ローン控除は住宅ローン残高の1%に相当する所得税・住民税を還付または減らす仕組みです。

自宅

※画像はイメージです(以下同じ)

 最近では家を買う際の支援策として定着していますが、なぜ変更されるのでしょうか。これから家を買う人にはどの位影響するのでしょう。ファイナンシャルプランナーの立場から、住宅購入を検討している若い世代のみなさんに向けて解説いたします。

今の住宅ローン控除の現状

 住宅ローン控除は主に新築の住宅を購入した時に、住宅ローン残高4000万円を上限に、1%を掛けた金額の所得税が還付されたり住民税が減る仕組みです。税金を減らすことから、税額控除と呼ばれています。長期優良住宅や低炭素住宅などの「認定住宅」を購入する場合には、住宅ローン残高の上限が5000万円に引き上げられます。

 住宅ローン控除の適用期間は物件の購入や契約の時期によりますが、令和3年現在ですと、特例的に最大13年にわたり税額控除が可能です。消費税増税やコロナの影響がなければ、適用期間は10年という条件が長く続いていました。

 一般的な住宅の場合は、4000万円×1%=40万円が年間の税額控除の金額です。当初10年間は、40万円×10年=400万円となり、11-13年の間は最大80万円の税額控除が可能です。今回改悪の原因とされているのは、逆ざやと呼ばれる現象です

住宅ローン控除の逆ざや問題とは?

税金

 4000万円の住宅ローンを借りて、40万円の税額控除を受けられると仮定します。住宅ローンの金利は変動金利や固定金利など、金利の種類によって異なります。

 例えば、ある銀行では変動金利が0.31%。4000万円の借り入れに対して、0.31%の金利ですから4000万円×0.31%=12.4万円の金利負担と考えることができます(※実際は借入期間によって年間の金利負担は毎年異なります。わかりやすく概算としました)。

 住宅ローン金利が12.4万円に対して、税額控除が40万円ですから、27.6万円分の税金が還付されることになります。金利と税額控除の差額分が、逆ざやといわれて、家を買って住宅ローンを借りた人だけ得する仕組みになっています。

 この考え方ですと、フラット35などの固定金利タイプの住宅ローンは金利が1%を超えますから、逆ざやとは言えません。ただ、多くの人は住宅ローン借り入れの際、変動金利を選択する傾向にありますから、逆ざや状態の人が多いと考えることができます。

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