消費税は必要なのか?「5%に減税」を野党が公約にする今、専門家に聞いた
消費税は「財源」ではない
「消費税は所得税や法人税ほど税収が景気動向に左右されず、政府の安定財源として重要だ」という意見があることについて聞くと、即座にこれを一蹴する。
「そもそも、消費税に限らず、日本政府にとって税金は『財源』ではありません。これは、近年注目を集めている『現代貨幣理論(MMT)』が明らかにしたことです。日本やアメリカのように政府が『通貨主権』を持つ国では、財政支出は全て、中央銀行が事前に発行した通貨を『財源』として行われているのが実態です」
消費税収の安定はむしろマイナス
「税金は、経済全体の需要を抑制して通貨価値を安定させたり、所得や富の分配を調整したり、社会全体として望ましくない行動を経済的に抑制したりするための政策手段として、もっぱら機能しています。そうした事実を踏まえれば、消費税収が安定しているというのはむしろマイナスです。
景気動向に左右されないということは、景気過熱局面でも税収がさほど増えずに需要が抑制されない一方で、不況局面でも税収すなわち民間の納税負担がさほど減らないため、経済全体を安定化する効果が弱いということだからです」