借りた20万円を持ち逃げされて…20代男性が「カネの切れ目」を実感した瞬間
恩返しをする絶好のチャンスのはずが…
毎月の生活がギリギリだったFさんはすぐに借金生活に陥ってしまったそうで、田尻さんは恩返しをする絶好のチャンスだと奮起し、5万円を貸します。
「でも1週間ぐらいして、奥さんに病気が見つかったけど掛け捨ての生命保険も解約してしまい、手術は無理だと相談されました。」
手持ちのお金はないが、どうにか力になりたいとFさんに申し出ると、「省吾くんが、キャッシングとかで僕の代わりにお金を借りるという方法もあるけど、そんなこと頼めないし……」と言われます。
「僕は、そんな方法があったのかと、転職したばかりでも借りやすいと、Fさんが教えてくれた会社にキャッシングを申し込みました。そして、Fさんに15万円も渡してしまったんです。バカですよね。どうしてそんなことをしたのか、いまとなっては不思議ですが、そのときはどうにかしてFさんを救いたい一心でした」
Fさんの借金が次々と発覚して
けれど、「再手術が必要になった」「入院費用が足りない」などと言われ、お金を無心されるようになります。最初は、お給料から渡したり追加キャッシングをしたりしていましたが、ある日、「こんなにお金を貸して、いつ返ってくるのか」と、ふと冷静になったそうです。
「お金を貸すことを断ると、Fさんはあからさまに冷たい態度を取るようになりました。でも僕は、お金を返してほしいと毎日言い続けたんです。そうこうしているうちに、Fさんが連続して無断欠勤。いつの間にかクビになっていました」
店長からそれを聞き、「え? 僕、お金を貸してたんだけど」と、思わず口を滑らせた田尻さんを、その場にいたスタッフが一気にガン見したと言います。そして口々に、「私も貸した」「俺も」と、Fさんの借金が次々と発覚。そう、彼はほかのスタッフにも同じような手口で借金をさせ、お金を借りていたのです。
「店長に事情を話し、いろいろと確認したところ、Fさんの履歴書は嘘だらけでした。給料も最近では珍しい手渡しだったし、個人経営の飲食店だったので社会保険の加入義務もなかったため、嘘が通用したみたいです」