基本給6万円!残業は過労死級、「サカイ引越センター」で労組を作った20代に聞く
仕事を辞める選択肢はない
「組合を結成して働きにくくはなりましたが、僕は引っ越し業務が好きだし、引っ越しの作業をして、お客さんから『ありがとう』と言われることをとても嬉しく思っています。サカイ引越センターには、そういう社員がたくさんいます。だからこそ、基本給6万円を改善し、社員全員が普通に1日8時間、残業は1日2時間以内で人間らしい暮らしができるようになるまで辞めるつもりはありません」
大森氏をはじめ、現組合役員は皆、同じ気持ちだと言う。しかし組合発足前には、思っていた給料と違っていたために生活ができず、やむなくサカイ引越センターを退職し、組合役員としては活動ができなくなった者もいる。
「PANDA BAMBOO LEAF JAPANの会(笹の葉会)を立ち上げてカンパを募っていますが、2021年9月時点で約11万円しか集まっていません。活動するための交通費や消耗品費などもかかるため、弁護士費用を賄うことができず、組合の特別顧問頼りとなっています」
組合の活動を妨害する「不当労働行為」に対しては、労働委員会で対応するため、収入や資産が一定以下の場合に無料で法律相談が可能な法テラスの対象外。そのため、弁護士費用などは組合役員の持ち出しやカンパにて賄う必要があるが、実質的な減給にあることやカンパが思うように集まっていないことから、活動が大きく制限されている。
休業補償を「これ以上払わない」
組合は熱心に活動を続けているが、前途は多難だ。団体交渉で労災隠しを認めたサカイだったが、組合を通して支払うと提示していた休業補償額について、約束よりも少ない額を直接本人に振込み、「これ以上は支払わない」の一点張り。
サカイ側の対応に呆れる特別顧問は、下記のようにアドバイスしてくれた。
「このようなケースに発展すると入金されるまでに手間も時間もかかるので注意してください。会社が労災の手続きをしてくれず会社記入欄が空白でも、労基署へ相談すれば受理してもらえます。また、仕事中の怪我は本人の不注意でも適用になりますし、通勤途中も対象です。会社に言いくるめられないようにしてください。
仕事中にケガ未払い賃金などがある場合、身近にある組合に気軽に相談してほしいです。組合員でなければ相談に乗らないということはないですし、相談するだけなら無料です」