全国に2か所だけ。競走馬の調教施設がある村での生活とは
馬はトレセン以外にも…
小沢さんの近所には、美浦トレセンだけでなく、馬だけを放逐する牧場も何か所かあるそうです。
「トレセンはあくまでも調教施設なので、すでにデビューしている大人の馬がほとんど。トレセンに入厩するまで、牧場で仔馬を育てているのでは」と小沢さんは推測します。他にも、馬のリフレッシュを目的とした牧場もあるとか。
公道に馬が歩いているのは、ほかのドライバーにとってちょっと迷惑なような気もしますが……。馬が身近にいることで困ったことはないのかと聞くと「特にないですよ」とのこと。
「別に公道に馬が走っていても田舎なので車はほぼ通らないし、(馬が通っていた公道は)バスも通りません。事故につながることはほぼないと思います。たまに馬が脱走することもあるらしいですけど、実際には聞いたこともないですし」
朝早くに聞こえる馬の鳴き声も気にならず、家畜特有の匂いも自宅周辺で感じることはないそうです。馬糞を回収して農作物の堆肥にするJAとの提携も行われており、馬が多いからこそ人と共生しやすい施策も行われています。
競走馬とともに生きる美浦村には、都会では決して味わえない独自の文化が存在していました。自然にあまり触れることなく都心で育った筆者は少しうらやましいなと感じた次第です。
<取材・文/佐藤隼秀>
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