マルチ集団の実態を描いた実体験漫画。被害者の心情は「推しに貢ぐ感覚」
プロットを読むと頭が痛くなる…
――「悪徳ネットワークビジネス集団にいた話」ではりっこさんが原作、ぺぺ彦さんが漫画を担当されていますね。どのように執筆を分担しているのですか?
勇者りっこ:当時の体験を文章でに起こしてぺぺ彦に送って、それをもとに描いてもらっています。
ぺぺ彦:ネーム起こしも含めた作画全般を担当しています。見せかたやフェイクを入れる箇所などの提案することもあります。小学校低学年からの付き合いなので、遠慮せずに意見しあえるのがいいですね。仲良くやらせてもらっています(笑)。
――作品を描いていて大変な場面はありますか?
ぺぺ彦:毎回自分の価値観がぐにゃっと曲がる感じがしんどいです。りっこのプロットを読むとまず頭が痛くなりますね。理解できないできごとの連続なので、休みながら進めています。しかも時々、M会側がまともなことを言ってるときがあって、なおさら混乱します。
勇者りっこ:そうなんですよ! たとえば「自分の決定には責任を持て」とか。でもそれを決定するときの基準は先生をコピーしなさいって言われるんですよ。ひよこなのかな?ってくらい刷り込まれます。
「マルチに引っかからなそうな人」ほど危ない?
――お話を聞いているとりっこさんはしっかりした方ですし、ぺぺ彦さんのような信頼できる友人もいます。いわゆる世間一般の「マルチに引っかかりそうな人」の偏見からは外れているように思えます。
ぺぺ彦:りっこは、もともとしっかり自分の意見を持っているタイプだと思います。だからこそ、ネットワークビジネスをしていたと聞いたときはびっくりというか……。
勇者りっこ:以前は、自分がネットワークビジネスを始めるとは考えたこともませんでした。正直、流されやすい人や、心が弱い人がハマると思っていましたね。
先生を初めて紹介された時もめちゃめちゃ警戒しましたし、案外、人は自分で思ってるより弱いのかなと。辞めてからそう思うようになりましたね。