グッズ累計販売数3000万個。偶然生まれたキャラクターが大ヒットしたわけ
子どもがお母さんになり再びサン宝石に
渡邊さんはサン宝石ならではの点として、ある掲示板の存在をあげる。
「子どもたちがイラストやメッセージを書いてくれたハガキを送ってくれるんですよ。物販の会社にファンレターが届くことってあまりないと思います。毎年子どもたちからの年賀状も届きます」
また、近年ではサン宝石の愛好者にある変化が見られるという。
「子どものころにサン宝石を使っていた女の子が、お母さんになって、もう一度、サン宝石に戻ってくるという流れがあります。自分の子どもがサン宝石を買うようになったことをきっかけに、サン宝石に再会するんです」
お母さん需要はネット注文を開始した2001年ころから増え始めたそうだ。「最近は子供向けよりシンプルでおしゃれなお母さん向けアクセサリーの充実にも力を入れている」と渡邊さん。しかし、そんな良い循環の中にも逆風がある。
サン宝石のメインターゲットである子どもの数は、少子化によって減少。それでも、今後の同社について渡邊さんに聞くと「事業をいろいろ広げていくことは考えていない」という。
「その時々で子どもたちを取り巻く環境も変わります。でも、いつの時代も子どもたちが『かわいい』と思う心は変わらないと思います。時代に合わせてハガキ注文からネット販売に力を入れたり、YouTubeやSNSから子どもたちとの接点をふやしたり、商品の届け方や訴求力を時代に合わせてアップグレードしていくことで対応していきたいです」
世代を超えて愛されるサン宝石。これからも子どもたちの心に残る商品やキャラクターが生まれ続けるのではないだろうか。
<取材・文/菅谷圭祐>