グッズ累計販売数3000万個。偶然生まれたキャラクターが大ヒットしたわけ
サン宝石が愛される理由
ほっぺちゃんが生み出された背景には、サン宝石の特殊な職場環境があったという。
「販売商品の制作とは別に、みんなでわいわいとキャラクターやアイテムを思い付きで作ることは珍しくありません。ほっぺちゃんは予想以上のヒットになりましたが、ほっぺちゃん以外にも雑談や思い付きで生まれた商品やキャラクターはたくさんありますよ」
また、同社は、アイデアが商品化するまでのハードルも低いという。
「他の会社との比較は難しいのですが、サン宝石は自由で平等な雰囲気があると思います。上司・部下みたいな上下関係を感じることはあまりなく、役職者に対して意見や提案をしてそれがそのまま通ることも多いです。ほっぺちゃんもそのひとつですね」
また、サン宝石では社長室などはなく全員が同じフロアで働いている。「この点も平等な職場環境につながっているのでは」と渡邊さんは話す。
圧倒的低価格の商品群に見るこだわり
なぜサン宝石は楽しく商品のアイデアを出せる職場環境となっているのだろうか。
「サン宝石の自由な雰囲気や平等な関係性は、働いている人が女性が多いことが関係あるかもしれません。経営陣や力仕事が必要な部署を除くとほぼすべてが女性です」
サン宝石の社員数は83名(グループ全体、パート・嘱託含む)。このうちの約9割が女性である。女性が多いのにはある理由がある。
「意識的に女性を採用しているということはないです。そもそも応募してくる人のほとんどが女性なんですよ」
応募してくる女性は元サンホユーザー・サンホ愛好者が一定数を占めているという。「子どものころに買っていたサンホの商品を自分で作りたいという熱意を持って入社する人も多い」と渡邊さんは話す。
「おもちゃの価格が高いと買うのに親の意見や意向がかかわってきます。そうではなく、子どもが欲しいと思った物を自分のお小遣い、自分の意思で買える。100円を切ることも珍しくない、こういった商品を子供たちに提供することがサン宝石の大きなこだわりです」