好かれる人には共通点が。誰でもマネできる「イメージ管理法」
「手札」をいかに使うかで効果は変えられる
たとえば年齢は、その人に初めて会ったときに、真っ先に目につく要素の一つであり、相手のこれまでの人生経験を知る手がかりになります。
1984年の再選の時点で、73歳のレーガン大統領はアメリカ史上最高齢の大統領でした。さすがの彼も、老いを隠せなくなってきていました(現在は2021年1月に就任したバイデン大統領が史上最高齢の大統領)。
選挙戦で国中を回るうちに、レーガンは次第に疲労の色を濃くしていきました。対立候補である元副大統領、ウォルター・モンデールは55歳で、まだまだ元気そうでした。
案の定、その年の秋の討論会で、レーガンは「大統領の激務に耐えられる自信はあるのか」というストレートな質問を受けました。彼はそれに対し、「全く問題ありません」と答えました。さらに、「私は、年齢のことを選挙戦の争点にするつもりはありません。対立候補の若さや経験のなさを政治的に利用しようとは思っていませんから」と続けたのです。
結果はレーガンの圧倒的な勝利
これにはモンデール候補も苦笑せざるを得ませんでした。確かに、年齢には2つの側面があります。人は年とともに経験を重ね、賢くなっていきますが、ある時点を境にして衰えはじめるのも事実です。年を重ねているほうが好ましいことと、そうでないことがあり、特に体力面を重視する場合はなおさらです。
レーガンは若さという側面において、対立候補であるモンデールに敵いませんでした。そこで、高齢であることを逆手に取り、人生経験や政治家としてのキャリアに言及し、反対にモンデールのその若さが弱みにもなりうることをアピールしたのです。その結果、レーガンは圧倒的な勝利で再選されたのです。「手札」をいかに使うかで効果は変えられるのです。
性別、年齢、容姿などといった「手札」が発するシグナルは、ほぼ固定されてしまっているため、整形手術でもしない限り、それらを大きく変えることはできません。
しかし、こうした基本要素は、人物評価の「決め手」にはなり得ません。結局のところ、人格とは、もって生まれた容姿や性別などによって決まるものではなく、自分自身でつくり上げていくものです。つまり、評価の決め手となるのは、あなたの行動、とりわけ他人との接し方なのです。
<TEXT/KNPコミュニケーションズ共同創設者 ジョン・ネフィンジャー&マシュー・コフート 訳/熊谷小百合>