実習不足の看護師が病院に…医療現場が懸念する2021年問題「リミットは3か月」
研修担当から新人に伝えたいこと
今年の新人看護師の実習不足が懸念されるのは、あくまでコロナ禍という緊急事態ゆえのこと。不可抗力であって、本人の努力が足りないせいではない。だからこそ、高浜さんは新人にどうしても伝えたいことがあるという。
「私たちも今年はいつも以上に新人研修の内容を練っていますし、できる限りのサポートをするつもりです。おそらく、皆さんは看護技術、状況判断だけでなく、患者さんや看護職員とのコミュニケーションの取り方も不安があると思います。実習ができなかった以上、仕方がないことです。引け目に感じて遠慮するのではなく、むしろ経験が足りないことを意識しながら能力を磨いてほしいです。
どんな職業であれ、新人に失敗はつきものだと思います。しかし、看護師は患者さんの命に関わる仕事です。取り返しのつかないミスは絶対に許されません。だから、私たちは時には非常に厳しく指導をします。近年はそれをパワハラととらえる若手看護師もいますが、決してそうではありません。
それだけでなく、残念ながら患者さんから心無い言葉を浴びせられることもあります。どうか心を強く持ってください。今はそれしか言えませんが、人の命を救う仕事への責任とプライドを持って、共に力を尽くせることを願っています」
高浜さんの言葉は厳しく聞こえるが、勤務する病院ではコロナ感染防止のため同居家族以外との会食を禁止しており、1年近くも自宅と病院を往復する生活を過ごしている。こうした努力と忍耐によって医療が支えられていることを、私たちは忘れてはいけない。
<取材・文/鹿野陽介>