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実習不足の看護師が病院に…医療現場が懸念する2021年問題「リミットは3か月」

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3年ぶり合格率90%超で実力不足の可能性

看護師

 さらに不安なのが、今回の看護師国家試験の合格率が3年ぶりに90%を超えたことだ。

「看護師国家試験は合否だけが発表され、得点は本人にも公開されないんです。明確な合格ラインがなく、その時の人員余剰や不足に応じて、国が得点調整していると言われています。

 近年は合格率を1%上げるだけで600人以上も看護師を増やすことができますし、合格者数だけで言えば10年前と比べて約1万人も増えています。コロナ禍で人員不足だとしても、もし実習経験だけでなく、看護知識も足りていない者まで看護師になれているのであれば、大きな問題だと思います」

過去には患者から逃げ出した新人看護師も

 コロナ禍のため仕方がないとは言え、実習不足の看護師が配属されることで医療現場はどうなってしまうのか。高浜さんが恐れているのは、現場を知らないまま看護師になったことで医療ミスを起こしてしまうことだ。

「看護師になってから現場で学ぶことのほうがはるかに多いのですが、それでも実習でリアルな医療現場を知ることの意義は非常に大きいと思います。患者さんとの何気ない会話からも容体を把握することは看護師の基本ですが、それをペーパーペイシェントから学ぶことはできません。また、緊迫した救急時の連携も見ていないので、本当の意味で看護師になる覚悟や自覚が芽生えていないのではないかと心配です」

 過去には、実習を経験していても新人看護師が医療ミスに繋がりかねない大きな失態を犯してしまうこともあった。

「医師や先輩看護師に確認せずに、勝手な判断で誤った処置をしてしまったり、担当する患者さんが危篤状態に陥り、怖くなって持ち場から逃げてしまったこともありました。個人の資質の問題ではありますが、実習を経験していないことで、このようなケースが増えてしまうかもしれません」

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