全米で話題の「オレンジをしぼるような働き方をするな」って、どんな働き方?
長時間労働の規制や働き方改革が叫ばれる昨今ですが、普段の心がけからも変えられたらいいですよね。そのヒントとなる本が、いまアメリカで話題なのです。
それが『GREAT AT WORK:HOW TOP PERFORMERS DO LESS, WORK BETTER, AND ACHIEVE MORE』(Morten Hansen、SIMON&SCHUSTER)。ワシントン・ポスト紙で「2018年に読むべきリーダーシップ論」の1冊にも選ばれました。
5年間に渡り5000人の経営者と労働者を調査した結果、ムダにダラダラと働かず、タスクを集約する人材こそが最大の成果をあげることがわかったのです。
そこで著者のハンセン氏(カリフォルニア大学バークレー校教授)が提案するルールからいくつかご紹介しましょう。
「あれこれと手を広げず、できることに全力を注ぐ」
まず「Do Less, Then Obsess」。あれこれと手を広げず、できることに全力を注ぐべし。
著者はアムンセンとスコットの南極レースを引き合いに出します。多くの人員と予算に加え豊富な移動手段を持っていたスコットに対して、犬ぞりしかなかったアムンセンがなぜ勝てたのでしょう?
それは方法を限定したことでアムンセンのチームの目標が明確になったから。色々なオプションに煩わされず、犬ぞりのパフォーマンスを高めることだけに集中できたのですね。
ここから得られる教訓は、<気にしなければならない項目が増えるほど注意力は散漫になり、何ひとつとして満足な成果を生み出さない>(p.22 以下筆者訳)。
「現状が上手くいかないなら、やり方を変えてみる」
2つめは「Redesign Your Work」。現状が上手くいっていない場合には、やり方を変えてみること。
デトロイトの貧困地区で最低クラスの成績に落ち込んでしまった高校のエピソード。
校長がその原因を分析していると、あるアイデアが浮かびます。親が子供の勉強を見てやれない生活環境なのだから、宿題は学校でやらせてしまおう。そして授業はスマホに録画して、自宅で復習させる。従来の学習パターンを逆にしようと考えたのですね。
これが見事にハマり、学校全体で学力テストの成績はアップ。もし校長が“頑張りが足りないからダメなんだ”と考え、教員たちにさらなる長時間労働を求めていたら一体どうなっていたでしょうか?
ここでの教訓は、“オレンジをしぼるような働き方をするな”ということ。
努力の量にこだわる限り、果汁の出ないオレンジをしぼり続けるような悪循環に陥ってしまうからです。チェックすべきは、努力の質と方向性。