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北朝鮮、非核化合意で日本はどうなる? 安心するのは大間違い!

ビジネス

 1998年12月7~11日にわたって北朝鮮の各地で開かれた反米集会では、壇上に立った労働党幹部たちが「朝鮮人民軍はワシントン、東京、ソウルを火の海にする」と叫びました。

 つまり、そのまま解釈すれば、もしアメリカが北を攻撃したとしたら、ソウルだけではなくて東京、ワシントン、ニューヨークを「火の海」にすると言うことです。

爆弾

 ただ、現在、北朝鮮の所有するミサイルで、飛行距離がもっとも長いのはテポドンですが、届いたとしてもせいぜいアラスカまでと言われています。

 未確認情報ですが、北朝鮮は1980年代末に旧ソ連から水素爆弾が搭載されたICBM(大陸間弾道ミサイル)を秘密裡に購入したという噂もあります。これが事実だとすれば、アメリカの危機感はより一層強まってきますね。

正しい判断には情報の取捨選択を

 核兵器開発と弾道ミサイル発射問題を巡って北朝鮮はアメリカに対していつもぎりぎりの瀬戸際のスタンスを崩さず、何度も挑発を繰り返してきました。

 にもかかわらず、アメリカのブッシュ元大統領は当時「北朝鮮はイラクやイランなどの中東地域とは違う。北朝鮮問題は外交的な対話を通して平和的に解決するのがアメリカの基本方針だ」と強調したことがあります。

 中東に対してはあれほど強硬姿勢を崩さなかったブッシュ元大統領が、北朝鮮に対しては、対話路線で臨んでいる背景には、北朝鮮の弾道ミサイルが在日米軍、東京、ソウルを狙っているからではないかと予測しています。

 繰り返しになりますが、正しい情報分析と状況判断は国の運命を左右すると思っています。ぜひ、みなさんにも、国際情勢にはしっかり注目し、自分で情報を取捨選択しながら判断できるようになっていただきたいと願っています。

<TEXT/高永喆>

拓殖大学主任研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防省専門委員・北朝鮮分析官歴任。著書に『韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』(佐藤優対談、KKベストセラーズ)、近著に『金正恩が脱北する日』(扶桑社新書)などがある

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