異色の経歴の公務員が進める渋谷区「副業人材」募集。「国際的なスタートアップ都市に」
日本はスタートアップ文化が育っていない
実際に2月5日の募集開始以来、「想像を超える応募があった」という。それだけ注目が集まっている証拠だろう。
「開始3日で100人以上の応募があり、現在は400人を超えていて、応募してくださった人数の多さにまず驚きました。内訳も大学生から大手企業の役員まで、職業も年齢もバラバラです。募集は2月末で締め切らせていただいたので、これからは実際の選考段階に移りたいと思っています」
とはいえ、有力スタートアップが次々に育つような世界の都市に比べれば、まだまだ物足りない状況だという。
「スタートアップの人たちに話を聞くと、やはり困っているのはオフィスや資金需要でした。金融機関からの信用がないので資金やオフィスが借りづらかったり、要はスタートアップを認めるカルチャーがまだまだ育っていないんです。行政を含めてサポートが手薄なんです」
「YOUTRUST」とコラボした経緯
そこで、渋谷区では2020年からスタートアップ支援事業を本格化させるべく、田坂氏の部署を発足。さらに事業を拡大させるために今回の副業人材の募集に至ったという。どのような思惑があるのだろうか?
「やはり、渋谷を成熟した国際都市にしたいという思いですね。実は、部署といっても、正式には一人しかいない状況なのです(笑)。他部署から人を借りている状態ですが、まったく手が足りなません。そんな時、助けてくださっている外部の方からキャリアSNSを展開する株式会社YOUTRUSTさんを紹介してもらいまして。
YOUTRUSTさんの転職のあり方を変えたいという想いやビジョンを聞いて、副業人材募集を一緒にしたいと思ったんです。今回、YOUTRUSTを通じて募集した4つの事業に関わる人が増えることで、さらに手厚い支援ができると考えています」
では、それぞれの業務にあたる人材を役所の職員ではなく、あえて外部から募った理由とは?
「役所の職員にはできることとできないことがあり、もちろん我々公的機関ができることは全力でサポートしますが、役所ができないことを多様な人々の専門的な知見や能力を即戦力として活かしたい。人がいないのをどう補おうかと考え、正規職員を雇用するのは難しいということもあり、副業人材がベストだという結論に至りました」