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沖縄訪問で感じた中国「海警法」の脅威。漁業関係者から心配の声も

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最も議論が白熱したのは…

ジョー・バイデン

ジョー・バイデン氏 © John Poltrack/dreamstime

 北朝鮮を巡る動向についてもだ。ドナルド・トランプ前大統領は北のトップと初めて握手を交わした初めてのアメリカ大統領となったが、新大統領ジョー・バイデン氏はそれほど同国に関心がない。金正恩氏に対しては「正しく行動しないとトランプみたいには会わない」というスタンスである。

 会議に出席した米国の専門家によると、北朝鮮は依然として核やミサイルの開発を続けており、日本にとって大きな脅威になるだろうと指摘した。さらに、最も議論が白熱したのは、尖閣周辺など日本で有事が発生した場合、米軍がどこまで関与するかであった

 日本人の多くは平和ボケし、何かあれば米国が助けてくれるとの認識があるが、今回の会議で専門家からは、「仮に有事が発生しても最前線で戦闘に従事するのは自衛隊であり、米軍が先導することはないだろう」との指摘があった。

 確かに日米安全保障条約第5条には、米国の対日防衛義務が明記されている。だが、重要なのは、具体的に米軍がどの程度協力するかは明記されておらず、その程度はその時の米政権の判断によるのだ。日本人が期待する通りに行動するとは限らない

米国は迫る中国に対しての焦りも

 2日間の会議を通して、先述したようなイシュー以外にも、香港や台湾、中国やロシアなどについて活発に議論が行われた。そこで筆者が感じたのは、米国が抱く日本への不安だった。確かに安全保障上、日本は米国よりはるかに多くの不安定要因に囲まれている。 

 日本は内向き化傾向にあり、人口減少も進み、米国側は同盟国として役割を十分に果たせるのかと疑念を抱いている。そして2030年には経済力で中国が米国を抜くとも指摘されるなか、ワールドリーダーとしての焦りも見え隠れしていた。

 現在コロナに関する話題以外で議論する余裕はなかなかないかもしれないが、日本人はこれまで以上に国の将来について真剣に考えていく必要があるはずだ。

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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