沖縄訪問で感じた中国「海警法」の脅威。漁業関係者から心配の声も
新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、政府は東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に発令している緊急事態宣言を再延長した。20時以降の営業自粛が求められる飲食業だけでなく、宿泊・観光業にも影響は甚大だ。特に経済の多くを観光に依存している沖縄県に、新型コロナウイルスが与えた影響は極めて大きい。
米国側は「海警法」を警戒
筆者は最近、仕事で久しぶりに沖縄を訪問した。これまでも沖縄は仕事やプライベートで何回も訪れているが、これだけ閑散とした那覇空港を見るのは初めてだった。
訪問の目的は、日本を巡る昨今の安全保障情勢について米国側(米軍関係者や学者、ジャーナリストなど)との会議。それほど公式ではないが、感染対策がしっかり施され、一部はウェビナーを取り入れ、裏は隠さず本音を語り合おうという形で始まった。
2日間に及んだ会議では、さまざまなトピックが取り上げられたが、ここでは米国側が特に強い懸念を示したものを紹介したい。
まず、2021年2月から中国で施行された「海警法」だ。海警法は、中国の主権が侵害された場合、中国の海上保安庁にあたる中国海警局に対して武器の使用を許可している。
漁業関係者からも心配の声が
最近、尖閣諸島周辺では中国船が日本漁船に意図的に接近したり、追尾したりする危険な行動が増えているが、海警法が武器の使用を許可したことで、緊張の度合いはまた1段階上がったといえる。
中国は尖閣諸島を自国の領土と認識しているため、これからは日本船が尖閣周辺を航行すると中国海警局の船が武器を使用する恐れがあるのだ。米国側は、この武器使用の容認を巡り、軍事的な対立がいっそう高まることを強く警戒していた。
会議には八重山諸島の漁業関係者も参加していたが、「海警局船だけでなく中国の民間漁船も武装している可能性がある」「安心して漁業ができる状況ではない」「海警局の背後には中国海軍がいる」といった心配する声が多く聞かれた。