UberEatsと闘う「出前館」が重視する“配達の質”「毎朝、朝礼してます」
2017年から“配達代行サービス”を強化
「自社でデリバリーを持てる飲食店は全国に3万店くらいしかないと言われていて、『これだとマーケットは広がらないよね』と考えるようになったんです。また、食ジャンルも宅配寿司や宅配ピザなどに限られてしまい、いろいろな食を楽しみたいユーザーニーズも満たせない。
こうしたことから、デリバリー機能を持たない飲食店でも出前館に加盟することでフードデリバリーができる『シェアリングデリバリー®(配達代行)』のサービスを強化するようになりました」
2017年から本格的に始めた「シェアリングデリバリー®」は、出前館で注文が入るとユーザーのもとへ配達パートナーが料理を届けるサービス。出前館直営の配達拠点と、地方では地元の運送会社や飲食店、新聞完売員などとパートナー契約を結び、委託するという。
こうした施策の結果、ファストフードを中心にサービス導入が進み、次第に規模や予算の問題で配達機能を持てなかった小規模な飲食店や個人店にも裾野が広がっていった。
デリバリー戦争をどう勝ち抜くか
一方で、フードデリバリー市場を取り巻く現況は混沌としている。出前館のほか、海外フードデリバリー最大手の「UberEATS(ウーバーイーツ)」、おしゃれで女性をターゲットにした「Wolt(ウォルト)」、ドイツ発の「Foodpanda(フードパンダ)」、韓国出前アプリNo.1の「FOODNEKO(フードネコ)」など海外勢の参入が相次ぎ、さながらデリバリー戦争が勃発しているかのような状況だ。
清村氏は「物理的なデリバリー店舗を持っていることが、他社と差別化する強みになっている」とし、このように説明する。
「2017年にシェアリングデリバリー®を始めてから、着実に拠点数を増やしてきました。開始当時はパートナー拠点を中心に展開していましたが、注文件数の増加に対応するための配達人員の確保が必要になってきた。そこで、出前館直営の拠点を増やす戦力に切り替えたんです」
各デリバリー店舗は通常の飲食店の組織体制のように、店長、アルバイトスタッフ、SV(スーパーバイザー)、マネージャーなどで構成され、多いところでは1店舗あたり300人ほどが在籍しているそうだ。
「なぜこのような組織体制にしているかと言うと、デリバリースタッフの教育に力を入れて“配達の品質”で勝ちにいくため。お待たせせずに安心・安全で届けることが第一であり、スタッフの配達クオリティをいかに高められるかが重要だと捉えています」