UberEatsと闘う「出前館」が重視する“配達の質”「毎朝、朝礼してます」
コロナ禍で外食をする機会が減少する一方、自宅で食事をする「中食」が注目を集めている。国内でのフードデリバリー市場は「出前館 vs Uber Eats」の2強を中心に、ますます激しくなっている。
今回は「出前館」を運営する株式会社出前館 取締役 兼 執行役員 デリバリーコンサルティング本部長の清村遙子氏に、“デリバリー戦争”を勝ち抜くための戦略について話を聞いた。
“出前”をオンラインで注文する文化の醸成
出前館は2000年にサービスを開始して以来、20年にわたって事業を展開。いまや加盟店数は5万店舗を超え、配達拠点も全国に約500拠点を構える。創業当初から「日本人の“出前”に対する意識を変えることを念頭に置いていた」と清村氏は言う。
「2000年ごろはそれほどインターネットが普及していなく、電話注文で出前をとるのが当たり前の時代でした。でも電話だと、お店が忙しくてなかなか繋がらないといった煩わしさがありました。
飲食店側もいちいち電話を取ってオーダーを聞かなければならず、また注文履歴が残らないためにオーダーの聞き間違えも発生する。こうしたよくある困りごとを解決し、もっとオンラインで注文できるようにと立ち上げたのが出前館なんです」
パソコンを持たない飲食店にはFAX
電話ではなく、インターネットを通じて出前が注文できるというのは当時画期的なサービスだった。
さらに出前館独自の「FAX受注システム」は、ユーザーが注文すると、お店に自動でオーダーが明記されたFAXが届く仕組みで、これがパソコンを持たない飲食店にも好評を得たという。
こうして、配達機能を有する大手飲食店チェーン中心に出前館が利用されるようになり、同時にユーザーもオンラインで注文する文化が次第に芽生えてきたわけだ。
ただ、当時は、今のような配達は行わずに「出前を頼みたいユーザー」と「食事を提供する飲食店」をマッチングするだけのサービスとして展開していたため、出前館で注文できるのはあくまで配達機能を有する大手飲食店チェーンのメニューが中心だった。