“ふるさと納税屋”からの脱却。トラストバンクが目指す「行政のデジタル改革」
ふるさと納税で災害支援も可能
カフェ立ち上げに加え、地方銀行とのアライアンス事業を推進したり、地域の魅力を発信する自治体と伴走してふるさと納税事業を推進する部署を統括したりすることで、次第に頭角を現し、社員からも信頼される存在になった。
「トラストバンクで、ふるさと納税のポータルサイトを運営している会社ではなく、ミッションやバリューに基づいて事業展開していることが、一緒に仕事をしていて気持ちよかった。『自分が興した会社』で地方創生を行い、日本を元気にしたいというのはエゴで、トラストバンクであれば地域の人たちと共に、地域のための地方創生がもっと大きな影響を広げられるのではと考えるようになりました」
国内最大級のふるさと納税サイトである「ふるさとチョイス」。2019年6月には寄付金の過当競争が起こらぬよう、ふるさと納税制度の改正が行われた。返礼品の見直しだけでなく、新型コロナウイルスの影響もあり、ふるさと納税を取り巻く状況は一変している。
乗り出す理由は「持続可能な地域」
そんななか、川村代表は「災害支援や地域の課題解決ができる」ことが、ふるさと納税をする動機に繋がると捉えている。
「最近の20代を見ていると、経済的価値よりも社会的価値や社会課題に興味があるという方が多いように感じます。地場産品の魅力はもちろん、地域社会の課題を解決するために、自分はどういう関わり方ができるか考えてみるといいのではないでしょうか。ふるさと納税は気軽に“give”を体験できる仕組みで、互助の精神を育むものだと考えています」
さらに、2019年からはふるさと納税事業以外にも地域共創を図る「パブリテック事業(PublicとTechnologyを掛け合わせた造語)」や地域内の経済循環を促進する「地域通貨事業」、エネルギーの地産地消を目指す「エネルギー事業」など、今年1月に前社長で創業者の須永氏から社長のバトンを受け取ってから、多角化戦略を進めている。
社長に新規事業を行う理由について、川村社長は「掲げているビジョンを実現するための手段」とし、次のように説く。
「トラストバンクってとかく、“ふるさと納税屋”として見られがちですが、『自立した持続可能な地域をつくる』というビジョンをどう実現するかという考えのもと、事業を推進している。ふるさと納税だけでなく、ヒト・モノ・お金・情報の循環がしっかりできている状態が、持続可能な地域を創る上で大切です」