“ふるさと納税屋”からの脱却。トラストバンクが目指す「行政のデジタル改革」
偶然だった「ふるさと納税」との出合い
コンサル会社を経験後ECサイト企業を経て、仲間と会社を立ち上げたという。
「実はコンサル会社時代に、『ニッポンの中小企業を元気にする』というビジョンのもとで仕事をしていました。とりわけ、地方の中小企業が活気付けば、日本全体が元気になると思っていて、この時の想いが原体験になっている。仲間と起業したのも、越境ECによって地域企業の販路をサポートをすることで、地域活性化に繋げたかった」
しかし、満を持しての事業展開は、これから軌道に乗せていこうとする矢先に不運に見舞われた。2011年3月11日に発生した東日本大震災だ。数か月は頑張ったがどうにもならず、結果的に事業は閉じることに。ここで改めて会社員に戻り、再起をかけるかと思いきや、銀行から資金を借りて、自分でコンサル会社を始める。
「事業を諦めて再度会社員に戻る道もありました。ただ、会社員になることで会社という大きな船の上で波風から守られる生活は、いつか波風にさらされた時に耐えられなくなるという危機感があったので、家族の心配はよそに思い切って起業する道を選びました」
社内の信頼を得て、4年で社長に
当初はサイト制作をやっていたが、飲食店を中心にした店舗開発やコンサル、その他できる仕事は全て受ける「なんでも屋状態」だったと話す川村代表。そんな折、コンサル先のクライアントの新規事業として関わったのが、今のふるさとチョイスを運営するトラストバンクだった。
「トラストバンクとの出合いは、自分の会社のクライアントだったんですよ(笑)。現会長の須永(珠代)が当時社長だった時に話す機会があって、その時に“ふるさと納税”というものがあることを初めて知った。非常にいい仕組みで、これなら自分がやりたい地方創生に貢献できるのではと思い、ふるさと納税の案件に関わるようになったんです。今思えば、まさに奇遇でしたね」
最初は、地域の魅力や特産品を知るきっかけを作るリアル店舗「ふるさとチョイスCafé」の立ち上げに従事。もともとFC店舗経営コンサルや飲食店舗立ち上げ経験を買われてのことだった。そのうちに、須永氏から「トラストバンクの本体のほうも手伝ってほしい」と言われ、本社にも足を運ぶようになる。