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コロナで収入ゼロも。27歳「週末式場スタッフ」が歩むパラレルキャリア

学び

結婚式の延期や中止が増えていく

副業

結婚式場のスタッフとして働く新田さん(写真はコロナ前)

――コロナの影響が出始めたのはいつごろですか?

新田:2月から徐々にキャンセルや延期が出て、3月以降はほとんど実施されず。例年結婚式が多く行われる5月と6月はすべて延期となり、結婚式の当日のサポートができなくなりました。もともと5月と6月あわせて10万円ほど副収入が入る予定でしたが、もちろんゼロに……。

 とはいえ、私は本業があるので収入や精神面ではそこまで大きな影響はありませんでした。でも、スタッフの中にはブライダル業界を志望する学生も多くいたため、彼らのモチベーション低下も見受けられました。

――コロナが長引くにつれ、不安な気持ちは増してしまいますよね。

新田:そうですね……。この危機を乗り越えるために自粛期間中、学生が発起人となり、スタッフ内で定期的にzoom交流会をすることにしました。そこで「どうしてブライダル業界に興味を持ったのか」「この業界で自分は何をしたいのか」など改めてみんなで話し合いました。この業界に興味を持つ人の多くは、“結婚式を通じて幸せを作りたい”という思いがあるので、改めてその気持ちを思い出そうという考えがあったようです。

 このzoom交流会がきっかけで「結婚式ができるようになったら、あらためて頑張りたい」と言っている学生も多くいて。ほかのアルバイトで食いつなぎながら、結婚式の再開を楽しみに待っていてくれました。

「ナシ婚」志望のカップルに一言

――10月現在はどのような状況ですか?

新田:8月から徐々に結婚式が開催されるようになり、月に1、2度の頻度で私も働いています。コロナ対策は徹底していて、事前の打ち合わせはほとんどオンラインで実施。また、スタッフは結婚式の2週間前から検温と体調を共有し、当日はマスクと手袋着用。ゲストの正面には飛沫防止のパネルを立てるなどしています。

――昨今、結婚式自体をしない「ナシ婚」志望のカップルが増えています。コロナの影響でよりその流れはより加速すると思われますが、新田さんはこの流れについてどう受け止めていますか?

新田:結婚式は高額な買い物ですし、コロナ禍で経済不安も相まって「それよりもっとほかのことにお金を使いたい」と思う気持ちはわからなくもありません。ただ、私は、結婚式の正しい定義はないと思っています。もしかしたら、誓いの言葉を交わすだけでもいいかもしれないし、家族だけで食事をするだけでもいいかもしれません。自分たちで「結婚式とは何か」を決め、自分たちらしい時間を過ごせば、それが結婚式だと思ってます。コロナ禍では、オンラインで式を挙げる方も増えているので、それも立派な結婚式です。

 私はどんな形であれ、これからも本業と両立しながら、みなさんが考えるいろいろな結婚式をサポートできたらと思っています。

<TEXT/橋本岬>

IT企業の広報兼フリーライター。元レースクイーン。よく書くテーマはキャリアや女性の働き方など。好きなお酒はレモンサワーです

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