サブウェイ、サーティワン…海外の外食チェーンが日本でウケる秘策
海外チェーンを日本で成功させる秘策
アメリカの大手タコスチェーンの「タコベル」は、アメリカではKFCよりも人気があるといわれるメキシカンファストフード店です。パープルがアクセントカラーのロゴを見ただけで「タコベル」とわかりますし、内装もクールな雰囲気で、デザイン自体は決して悪くありません。
しかし、「タコベル」は2015年から日本に再進出し、各地に出店しましたが、定着しませんでした。アメリカと違い、日本人にはメキシコ料理のタコスを食べる習慣があまりなかったことと、ファストフードの割には単価が高かったことが大きな要因と考えられます。
私なら、まず大手コンビニエンスストアと組んで「タコベル」の商品の認知度を上げてから出店します。初出店するのは、「タコベル」のターゲット層である若者が多い渋谷や新宿などの繁華街の一等地がベストです。そこに「タコベル」の旗艦店を出店します。旗艦店はいわゆる「広告塔」なので、ブランドカラーであるパープルのロゴを印象づけるデザインにします。パープルは日本のチェーン店では使われていない色彩なので、街の中でも視覚的に目立ちます。駅前や交差点にもパープルの野立て看板を複数設置するプロパガンダ作戦を実施することで、店の認知度が自然に上がります。
サブウェイが日本で成功するには?
一瞬しか目にしなくても、潜在意識に刷り込まれて無意識にそれを求めるようになったりする心理作用を「サブリミナル効果」といいます。周辺にパープルの「タコベル」看板が複数あるだけで、なんとなく「タコベル」のタコスが食べたくなるサブリミナル効果を狙うのです。
店のブランドイメージを上げるには、店舗の空間デザインだけでなく、街全体の空間デザインも視野に入れて考えることが大切です。「タコベル」と同じくアメリカ発のサンドイッチチェーン「サブウェイ」も、1990年代に日本に進出しましたが、近年、大量に撤退しています。「サブウェイ」は自分好みに味をカスタマイズでき、野菜もたっぷり摂れるヘルシーなイメージが特徴です。ただ、肝心のベースとなるパンが、食感にこだわる日本人の口にあまり合わなかったことが原因ではないかと思っています。
また、残念だなと思ったのが、せっかくの野菜のカラフルな色彩があまり映えないショーケース(商品展示棚)だったことです。もし私がデザインを任されたら、みずみずしいレタスのグリーンやパプリカの赤、オニオンの白が鮮やかに引き立つ黒ベースの厨房にします。