中国企業のせいで飲み水が汚染?アフリカ全土で「反中感情」が高まるウラ
多額の融資を受けた新空港が計画中止に
シエラレオネでは2018年2月、同国政府が新空港建設のため中国輸出入銀行から多額の融資を受け、2022年までに新空港建設を完成させる4億ドルもの契約を結んだが、翌月の大統領選で勝利したジュリアス・ビオ現大統領は急遽、その建設中止を発表した。
同大統領は積み重なる債務に疑念を抱き、中国主導の新空港建設は経済的ではないと判断したとみられる。
これらの3か国は、いずれも香港国家安全維持法を支持した側だ。しかし、国家としての判断と現地住民たちの声が異なることは決して珍しくなく、ミクロレベルで覗けば、さらに多く類似のケースがあることは想像に難くない。
自主性を求める“最後のフロンティア”
一方、2020年2月、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は米国のシンクタンクで講演した際、アフリカが米中競争の主戦場になることに対して強い懸念を示し、アフリカ各国の選択する自由と権利を強調。両国に対してアフリカの自主性を尊重するよう求めた。
アフリカ各国では今後急激な人口増加が見込まれ、経済的には“最後のフロンティア”とも呼ばれるが、中国の影響力拡大と米中の対立の深まりを警戒する声は日に日に高まっている。
そして、アフリカではブルキナファソなどのサヘル地域やモザンビークを中心に、イスラム国やアルカイダを支持するイスラム過激派の活動が近年活発化している。
今後、中国が現地政府や住民の声を聞かないやり方を続けていると、“中国権益”が同過激派の標的になるリスクも一層高まることだろう。
<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>
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