ドミノ・ピザが“1枚目から持ち帰り半額”に踏み切ったワケ。執行役員に聞く
今年4~5月で7400人を大量採用
こうした時短デリバリー以外に、ドミノピザはネット注文やスマホアプリ「Domino’s App」など、デジタルを強化してきた。同時に、スピード配達を実現するために店舗拡大も積極的に行い、小商圏化を進めている。
「現在の店舗数は669店舗になりますが、2025~2028年の間に1000店舗まで拡大していきたい。そのための採用強化も図っており、今年4~5月で7400人を採用しました。そのほとんどはクルー(アルバイト従業員)ですが、クルーから店長やマネージャー、さらにはフランチャイズオーナーなど頭角を現す従業員も他社に比べて多いと感じています。現に、社長のジョシュア・キリムニック、CMOのトッド・ライリーは、オーストラリアでのアルバイト経験から現職に就いています」
ドミノ・ピザではeラーニングを用いた教育プログラム、他店舗より早い最短3か月での店長昇格などの施策で、従業員のモチベーション向上に努めている。さらに、フランチャイズオーナーなど独立支援のキャリアパスも整っている。
「誰でも、夢を叶えたいですし、年齢に関係なく、活躍できる素地を作っています。ドミノ・ピザで育った従業員がオーナーになることで、直営店舗で学んだノウハウを生かせる。ある種、ラーメン屋のようなフランチャイズ展開していると考えてもらうといいかもしれません」
コロナ禍のテイクアウト需要で「お持ち帰り半額™」に
コロナ禍でテレワークによる在宅勤務が推奨されたことで、消費者の需要や嗜好は大きく変化した。ドミノ・ピザも2012年から実施していた「Buy1Get1Free(お持ち帰り2枚目無料)」を終了し、新たに「お持ち帰り半額™」を6月15日から開始した。柿内氏は「デリバリーだけでなく、テイクアウト需要も大きく増えたという」と語る。
「まず、業界初の試みとして『デリバリー最低注文金額』の撤廃を実施しました。今までは配達員の人件費やリソースなどに鑑みて設定をしていましたが、昨今のデリバリー需要増に応えるべく、採用活動の強化含め、企業努力によって撤廃しました。ピザやサイドメニュー注文時の最低注文金額がなくなることで、ファミリー層だけでなく、単身世帯でも気軽に利用できます。セットメニューも新設し、これまで以上に利用機会を促せるようにしています」