「二番底は当分こない」森永卓郎の息子がAIで読み解く、コロナ後の経済
コロナ禍で悪化しているように感じる日本経済。緊急事態宣言が発令された4月以降は飲食産業やアパレル、化粧品などの消費が特に冷え込んでいるとの報道が盛んでした。
しかし、「とあるデータを見ると、4月末で日本の消費は底を打っていた」と経済アナリストの森永康平氏は語ります。前回は「若者のキャリア設計」について聞きましたが、昨年末から今年にかけての日本人の消費動向をデータはどのように示していたか聞きました。
日本人のコロナ関心は4月末がピーク
――森永さんは経済アナリストですが、コロナ禍の経済をどう見ていますか?
森永康平(以下、森永):僕はいま複数の企業で経営に関わっているのですが、AIの会社ではCFO(最高財務責任者)をやっていて、AIを使って「この6か月間、日本人の興味関心がどう移り変わったか」をWeb記事の内容からAIに分析させました。
そうすると、1月くらいから日本でもコロナ関連の報道があったのに、その頃の世間の関心は、芸能人の不倫であったり、夫婦間でのセックスレス問題だったりと、下世話な話がよく検索されてたんですね。
つまり、今年の1~2月の時点では、世間はまだコロナに興味がなかった。これが、3月になるとガラッと変わって「症状」「新型コロナ」「東京都」「給付金」といったコロナ関連のキーワードが軒並み上位に来て、みんなが注目し始めた。ここまではみなさんの予想通りだと思います。
――4月以降に何か変化はありましたか?
森永:おもしろいのが4月で、コロナ関連のキーワードはガクッと下がっているんです。かわりに上に入ってきたのが「スキル」「リーダーシップ」「教養」といった検索です。
これが何を意味するかと言うと、例えばイベント自粛で仕事がなくなったカメラマン、広告削減で発注がなくなったデザイナー、感染リスクがあるにもかかわらず外にでて働かざるをえない人たちが4月に「またコロナみたいのが来た時に、俺やべーな」と考えて、簿記や英会話、プログラミングといった、スキル取得にみんなが舵を切りはじめた。
これが4月なんです。今回のコロナ禍で、自分で稼げるスキルを持ってないことに危機感を覚えて動き始めてるんですね。
消費税アップで消費は落ち込んでいた
――キャリアへの危機感を持つ契機だったということですね。コロナ禍により、経済がダメージを受けてますが、アナリストとしてどうご覧になりますか?
森永:実は、コロナの前から日本の消費がめちゃくちゃ落ちてました。それが2019年10月頃で、皆さんも予想がつくと思いますが消費増税によるものです。そのタイミングから家計支出を見てみると10~12月と消費はずっと落ちていて、そこにコロナが追撃してきた格好です。
ちなみに、国が発表する経済指標は毎月1回発表されていて、たとえば4月の消費者物価指数は5月に発表されます。要は経済統計には1か月のタイムラグがあるんです。なので5月になってから「4月はこうでした」と発表されても、「だから何?」みたいな側面があります。従来の手法による調査集計には限界があるんです。