Googleも導入「リファラル採用」とは?景気回復で変わる就活事情
学生と企業が身分を明かさず会話「覆面本音トーク」
社員と会社のミスマッチは深刻な問題で、入社3年以内に離職してしまう新入社員が増えており、入社3年以内の離職率が32%に登ると言われています。そのミスマッチを防ぐ取り組みも紹介されました。
若者の就職を支援している「キャリア解放区」というNPO団体が開いた採用イベント。この採用イベントに参加した学生と企業は、学校名や企業名などの経歴を一切明かさず、ディスカッションをするというもの。
肩書を気にすることなくお互いの意見をぶつけ合うことで、納得のいく採用に繋げようというものです。イベント終了後に学生と企業はプロフィールを明かし、連絡先を交換し、後日、学生は気になった企業にアプローチをするという仕組みです。
イベント前には、関心のなかった業界であっても、経営者の言葉に共感して、入社を決めたという人も多く、参加者の2割ほどが、イベントで知り合った企業に就職を決めたそうです。
長く働いてもらえる人材であるかどうかを、面接だけで判断するのは難しいものです。企業側は、学生の本音を知った上で選考することができると好評です。
採用氷河期時代を迎えたこれからの働き方
番組のコメンテーターとして出演した千葉商科大学専任講師の常見陽平さんは「この売り手市場は、決して短期的なものではない。経営計画実現のために企業はいかに人材を獲得できるか気にしなければいけなくなった。そして、採用した人材を、最大限に生かすことがこれからの企業には求められるだろう」と、現状を分析します。
また、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんは、「採用氷河期ですが、企業側も決して若者に媚びることなく本音でぶつかり合い、企業の強みと若者のニーズを掛け合わせないと良いマッチングは生まれない」という解説していました。
これに対しインターネットでは、
「こんな就活方法があるなんて時代が変化しているのを感じました」
「企業の在り方もどんどん変わっていっているんだなあ」
「パワハラや過労死など暗いニュースが多かったけど、希望が持てた」
と、変わりつつある就職活動に好意的な意見も多い一方で、
「いろいろな採用方法があるのは良いことだけれど、根本的な課題解決になるかは疑問」
「売り手市場だからと言っても、まだまだ大手に就職したい人の数は圧倒的に多く、希望している職を手に入れることは難しいのではないか」
など、冷静な見方も少なくありませんでした。
逆求人に関しても、リファラル採用に関しても、どちらも、ここで働くことができて良かったと、社員に思ってもらわなければ成り立ちません。
常見さんが指摘するように「企業は社員を大事にしなければ、企業としての成長もあり得ない」ということです。これからの時代は、新卒一括採用で大量に人材を確保して、使い捨てるという働き方は企業にとってもマイナスになっていくでしょう。
若い世代にとっては、自分のキャリアプランに合わせて流動的に、自分のスキルを生かすことができる職場を見つけることが重要になってきそうです。
<TEXT/湯浅肇>