なぜ会議の「ブレスト」は失敗するのか?アイデアが出る4ステップ
何かアイデアを出す必要があれば、とりあえず会議室に人を集めてブレスト(ブレインストーミング)……。どの会社にもありがちな光景だ。
自由な発想で発言しあって、新しいアイデアを見つける場、ブレスト。ただ、実際ブレストには他者への気兼ねや内向的な人の意見がくみ取れないなど、やり方に相当気を付けないと効率の悪いものになってしまいます──そう語るのは、『感性思考』(SBクリエイティブ)を上梓したビジネスデザイナーの佐々木康裕氏。MBA留学をやめ、アメリカのデザインスクールで学んだ同氏に、ブレストを超えるアウトプット法を聞いた(以下、佐々木氏寄稿)。
原因は周りへの気兼ねと思考停止
ブレインストーミング(以下「ブレスト」と表記します)といえば、テーマを決めて、ホワイトボードに思いついたアイデアをどんどん書いていく方法が一般的です。
批判はなし、質よりも量が大事などの「ブレストのお作法」もだいぶ一般化してきたこともあり、社内外でのアイデア創出の場でブレストが活用・利用されるケースも増えてきたと思います。
一方、ブレストは、役職による意見の重み付けの排除(「部長がああ言うなら仕方ないか……」といった忖度的な意思決定をいかに排除できるか)や、内向的な人の意見を汲み取る工夫など、相当丁寧なファシリテーションが必要という側面もあります。
また、ブレストの功罪を把握しながら進めなければ、何か新しいことを始める際に不要な軋轢を生みかねません。早稲田大学の大学院で経営学を教えている入山章栄教授は、著書『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP)で、ブレストの功罪についてアカデミックな観点から解説を行っています。
同書によると、ブレストがうまくいかないのは、他者への気兼ねと、集団で話すと思考が止まりがちになるのが原因と言われています。それを考えると、ブレストはアイデアが無限に出るどころか、むしろ効率の悪い発想法だと言えます。
恥ずかしい経験を話してからブレスト
ちなみに、ブレストを開始する前に行うといいおすすめのセッションがあります。
2017年10月2日に『ハーバード・ビジネス・レビュー』に掲載されたノースウェスタン大学のリー・トンプソンの論文によると、ブレストの前に半分のグループには恥ずかしい経験を、残りの半分には誇りに感じた経験を語ってもらう実験をしたところ、前者の方が26%も多くのアイデアを生み出したそうです。これは、自虐的な話をすると心理的に「抑制」が取り払われることで見栄がなくなり、他者との比較が気にならなくなるからだと考察されています。
自虐的なエピソードを語り合ってからアイデアを出してみると、今までがウソのように盛り上がる、アイデア出しの場になるかもしれません。
これから紹介するアイデア発想法を実践していただければ、ブレストの欠点を補い、上下関係を気にせずにアイデアを気軽に出し合えるようになるでしょう。
たとえ何もアイデアを思いつかなくても、これらの方法を試してみれば創造性に依存せずに、半機械的にアイデアを生み出せるようになります。