ゲイカップルを演じた藤原季節「これは“ただの”同性愛者の映画です」
消費されない人間になりたい
――藤原さんにとっても大きな財産ですね。最後に、これからどういう役者になっていきたいですか?
藤原:(かなり逡巡してから)今って世の中がすごい勢いで変わって行っていると思うんです。10年前には想像できなかったことが起きていて、さらに10年後はもっと想像できない価値観に変わっていくと思います。
ただ、流れは速いけれど、『his』をやってみて、世の中がどれくらい遅れているかが見えるようになりました。これからも時代はものすごい勢いで移り変わっていって、俳優も消費される存在になっていくと思います。俳優になることや芸能界に入ることは前より簡単になるかもしれないし、すぐに消えていくけど、僕は、そこで消費されない人間になりたい。
――消費されない人間ですか。
藤原:はい。そのためにも、今色んなことを頑張っているし、ひとつひとつのことに対してサボらずに向き合っています。もし何かが起きて、芝居ができないことがあったとしても、失わない場所みたいなものを作りたいです。僕を好きになってくれた人たちの人生が少しでも豊かになるような存在になっていけたらと思います。
<取材・文・撮影/望月ふみ>