ゲイカップルを演じた藤原季節「これは“ただの”同性愛者の映画です」
映画の背負い方を教えてくれた先輩
――今泉監督のほかにも、これまでに強く影響を受けた人はいますか?
藤原:井浦新さんに与えてもらった影響がすごく大きいです。故・若松孝二監督の伝記映画『止められるか、俺たちを』(2018)で共演させていただいて、すごく可愛がっていただいたんです。ご飯にもたくさん連れて行っていただきました。
「テーブルに座ったら、お皿を並べておしぼりを置くんだ」という新人の所作みたいなところから教えていただいて、お父さんみたいでした(笑)。本当にイチから、映画の背負い方についてもです。
――映画の背負い方ですか?
藤原:新さんって、映画を観てくれる人のために、全国どこへでも行くんです。そして映画館の館長さんと仲良くなる。「地方の映画館があるおかげで、私たち役者は仕事ができます」という精神を教えていただきました。『止められるか、俺たちを』の上映の際に、僕も、全国の映画館を一緒に回らせていただいたんです。おそらく新さんが出してくれていたお金で、色んな映画館を回って、館長さんにご挨拶して。
若松監督の命日には必ず集まります
――キャンペーンの一環ではなく?
藤原:はい。新さんと白石和彌監督の二人だけのところに加えていただいたんです。地方の映画館を回るというのは、若松孝二監督が1人でされていたことなんだそうです。「その教えを受けて二人でやっている」と。
そこに「お前も来るか」と言っていただいて。地方の映画館を盛り上げていくためには、何でもするんだと。もし災害が起きたらボランティアにも行くとか。そうしたことを、全て新さんに教えていただきました。
――今でも会っているのですか?
藤原:若松監督の命日には必ず集まりますし、いまでも『止められるか、俺たちを』のイベントがあれば、みんなで集まります。
――若松監督がいなくなられても、思いが繋がっているんですね。
藤原:そうですね。その中心に新さんと白石監督がいて、二人がいるところにはみんなが集まります。