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仕事に情熱を持てなくてもいい?「好きを仕事にする」の落とし穴<鈴木祐×ときど対談>

学び

柔軟性が目の前の仕事に意味をもたらす

――悩んだ時は周囲に助言を求める、異分野のやり方を取り入れるなど、ときどさんの姿勢には柔軟性が感じられますね。

ときど:僕、目標とかカチッと決められないタイプなんです。最近はある程度の終着点みたいなものを意識して今やるべきことを逆算するようになってきましたけど、昔はただ目の前にあることをやるだけで。今もキャリアプラン的なものは全くないですよ。

鈴木:柔軟性はとても大事です。カチッと決めすぎると柔軟性が失われてしまう。僕もキャリアプランなんて今まであったことないですよ(笑)。ひたすら目の前に立ち塞がるものを選り分けてきた感じで。

 ちなみに「退屈で無意味にしか思えないような仕事に、あらためて深い意味を見出すことでモチベーションにつなげる」というのも、柔軟に生きるためのひとつの方法なんですよ。「ジョブクラフティング」といいます。

ときど:まさにそれ、プロゲーマーになる前の大学院生だった僕に欠けていたものです。僕が至らなくて、目の前の研究に切り込んで楽しさを見つけることができなかった。

「合理性」「勝ち」にこだわるのは危険

ときど×鈴木祐

――ときどさんはプロゲーマーになってからも、結果が出なくなるという壁にぶつかったそうですね。

ときど:ガーッと情報を集めて分析するのが得意なので、いろんな格闘ゲームのタイトルを攻略して「一個に絞ると勝てないけどいろんなタイトルでそれなりの結果を残せるプレイヤー」っていう存在感を最初は出していたんです。

 でも、効率だけを追求する僕のプレイスタイルではだんだん勝てなくなった。

鈴木:情報処理能力の高い人“あるある”ですね。データ相手ならどうにかなるけど、いざ対人間になった時に対応できなくなる。情報処理能力の高さが呪いになるパターン。

ときど:「勝ち」にこだわり過ぎて、一見、ムダに見える「遊び」の部分をそれまで捨てていたんです。でも実は格闘ゲームって、相手との駆け引きやプレイの幅などの深い、深いところまで追求するほど強くなれるんです。

 情報処理能力が高いからといって勝てるわけじゃないレベルまで格闘ゲームの世界が進化してきたんです。

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