新婚夫レンタルから謝罪代行まで「代行サービス」のドラマチックな舞台裏を社長に聞いた
オプションでペットのチワワまで追加可能
――事前に結婚生活のシュミレーションができると。
石井:その通りです。オプションで姑や子供、さらにペットのチワワも追加できるシステムになっています。
――ずいぶん芸が細かいですね(笑)。
石井:もちろんです。一見ふざけているように思われるかもしれませんが、我々はいたって真摯にこの代行サービスを展開しているんです。例えば、「かり婚」を利用したお客様から「他人と暮らすことに少し抵抗があったが、体験後には結婚に対して前向きになれました」という感想をいただいたこともあります。
料理が得意なスタッフもいるので、お客様のリクエストがあれば、手作りの家庭料理を振る舞うことも可能です。我々としては最大限リアルにやることが肝だと思っているので、逆にお客様が戸惑ってしまうこともあるくらいです(笑)。
交際相手の家族と会う前に練習台としてレンタル
――提供している中で特に人気の高いサービスってどれなんでしょうか。
石井:弊社で1番多く問い合わせをいただいているのは、やはり父母代行です。よくあるケースとしては、結婚を前提とした交際相手の家族との食事会や結納があるから、練習台として「父親役をレンタルしたい」という依頼です。
私がこの仕事をしていて感じるのは父親との関係が疎遠な人が案外多いということ。しかも1度そういう場にレンタルお父さんが参加してしまうと、その後の出産であるとか、家族のイベントがあるごとに同じ父親役のスタッフが出席しないといけないので、当社としても責任重大な案件と言えます。
――今までに代行というのが相手にバレてしまったことは?
石井:それはありません。万が一、発覚したとしても絶対に認めない方針なので。ただ、お客様との意思疎通が不十分だったことが原因でピンチを招いたことはありました。以前、自衛隊の関係者が参加する冠婚葬祭の式典があって、そこに自衛隊員という設定でスタッフを派遣したまでは良かったのですが、実は参加者のほぼ全員が自衛隊関係の方々でした。
お客様からは事前に聞かされていなかったことなので、スタッフが話を合わせるつもりで「◯◯にいます」と言ったところ、「そこには去年までいたけど、あれ、最近配属されたんですか?」という反応をされ、泥沼のような状況に陥ったことも……。あとは不倫の代理謝罪に行ったら、手の甲まで刺青が入っている人が出てきて「おまえどうするつもりなんだ」 みたいな(笑)。どちらもスタッフが機転を利かせてなんとか切り抜けてくれましたけど。