「一生賃貸派」の若者を待ち受ける、過酷な老後の生活
「老後、賃貸住宅に困ることはない」は本当か?
「人口は減少してくのだから家は確実に余る。老後、心配しなくても賃貸住宅に困ることはない」という言説は、私から見れば半分正しく、半分間違っています。
たしかに、このままいけば住宅は将来余ります。首都圏で考えると、ほぼ全域で家余りは深刻化します。賃料も下がっていくでしょう。しかし、激しく下がった賃料で借りられる賃貸住宅が建つゾーンにおいて、「適切な管理がされている状態を保ち」かつ「行政サービスやスーパーやコンビニといった近所の生活インフラも整ったまま」なのかは、激しく疑問符が付きます。
地方をドライブすると、山間地域で次々に人が住まなくなった地域が見つかります。数年放置された地域は、もはや人が新しく暮らすことが不可能なほど荒れ果てますし、そこに電気や水道、ガスといった都市インフラを提供し続けていくのもしんどくなっていくでしょう。
激しい高齢化とそれに伴う人口急減は地方だけの問題ではありません、東京都ですら郊外からどんどん人が減り続ける事態が起こります。日本人の人口は、30年後の2050年には、2008年のピークから2000万人減少した1億800万人となる予測が出ていますが、このとき利便性の悪い地域は一斉に放置されて、住むには適さない地域が一気に広がります。
アメリカ・デトロイト市の現状は、人口減少が一気に進むとどうなるのかを示しています。人口が減っていくと、新しく流入がないエリアは急速に荒廃が進みます。そのうち小売業が成り立たなくなり、コンビニやスーパーが撤退して、市民が次々と移住すると、人が住まない地域が増えます。荒廃はすべてのエリアで同時進行するわけではなく、一部の地域だけが元気な状態を保ちます。
日本も同じようなことがあちこちで起こるでしょう。人口減少が進み、賃料が取れない住宅は、メンテナンスコストのほうが高くなるので放棄されます。一方で、元気な状態を保つエリアは、賃料も高いままになります。
これから人口がどんどん減ってしまうエリアと、人口が増えるごく少数のエリアの予測は、総務省のウェブサイト上で見られる「2040年の人口の動向について」などでも公開されています。今から家を買うなら、これからも人口増加が望める数少ないエリアで検討するべきなのです。
<TEXT/のらえもん>