吉岡里帆、現場で見えた「仕事の難しさや自分の弱点」
連続テレビ小説『あさが来た』、ドラマ『カルテット』、映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』などで、毎回違った顔を見せ、女優として躍進中の吉岡里帆さん(26)。
主演映画『見えない目撃者』では、事故で視力を失いながら、誘拐事件の解決に立ち向かっていく主人公なつめを体当たりで演じています。
そんな吉岡さんに、作品についてのみならず、影響を受けたドラマ監督の言葉や、30代へ向けての仕事への向き合い方を伺いました。
演じたのは、誰よりも強い女性
――とても難しい役だったと思います。オファーを受けたときの気持ちと、なつめを演じるうえで軸にしたことを教えてください。
吉岡里帆(以下、吉岡):キャラクター設定を伺ったときに、とにかく準備期間が必要な役柄だと思いました。クランクインする1年半ほど前からお話をいただいていたので、ずっとこの役が頭の片隅にあり、緊張感が続いていましたし、自分にとってとても大きな挑戦になる予感がしました。
元警察官ということであったり、視覚障害を持っているという役柄や、盲導犬との演技など、技術面で見せなければいけない部分がたくさんありますが、軸としては、ハンディを抱えながらも誰よりも強い女性だという部分が大事だと思いました。繊細さや脆さも抱えていますが、最終的に、強い女性だという印象が残る、そうした人にしたいと思いました。
――撮影が特に大変だったシーンを教えてください。
吉岡:後半、犯人と対峙するシーンは本当に大変でした。犯人はとても冷静に追い詰めてくるのですが、観ている方の緊張感は、なつめの焦りや緊張とリンクする必要があったので、映像のスピード感を出すために、ものすごいカット数を撮影したんです。繋げると短いものでも、1週間ほどかかったりしました。
アクションやスリラーの難しさを感じましたが、面白かったです。小刻みに撮っていったものが、すごくハラハラする出来上がりになっていて、あの時間は無駄じゃなかったと実感できました。
現場で難しさや自分の弱点が見えてくる
――なつめは強い女性ですが、吉岡さんも、女優という夢を努力して掴んできた強い女性だと思います。現在、とても順調にキャリアを積まれていますが、仕事のクオリティを保つため、モチベーションを保つために心がけていることはありますか?
吉岡:作品のたびに、次またこうした役に巡り合えるかどうかは分からないと、常に思うようにしています。
――評価に甘えないといったこともありますか?
吉岡:それはもちろんです。そのときの偶然が重なって、役をやらせていただいているのだと思っていますし、「これが最初で最後なんだ」という気持ちで、いつも挑んでいます。