話題の“東大王”が教える、目標達成への「コツコツ式」「日めくり式」勉強法
「日めくり式」で、自分のペースで
僕はコツコツバージョンだと挫折してしまいそうな気がするので、もうひとつの「日めくり式」で、小さな目標を決めて進んでいくようにしています。大きな目標を達成するためにやらなければならないことを、あまりぎちぎちにスケジュールに落とし込まず、そのときの気分で1つひとつ片づけていくのです。
「これがとりあえずできた!」
ここで一度達成感を得て、それから「じゃあ、次はこれをやってみよう」と、日めくりカレンダーをめくるように次々と新しいことに取りかかるイメージです。たとえば、あなたが絶対に受かりたい大学があるとします。英語の実力は今は60点くらいだけれど、合格するには80点くらいは取りたい。そんなとき、闇雲に点数を追ってはいけません。
自分の実力のうち、足りていない部分を見つけてみる。単語の力が足りていなかったら、まずは英単語帳を1章だけ進めてみる。やる気が出てきたら2章、3章と進めていくし、うまく気が乗らなかったら別の教材に移ってもいい。
そうやって自分のペースで進めていくと、長文の読解問題でもこれまでよりスラスラ読めるようになっていることに気づきます。こうして、「できること」が増えていくのはうれしいものですし、自分の成長も実感できます。だから、次のことに手をつけるのが苦ではなく、むしろ楽しみに感じられます。
ポイントは、意識するのを、あくまで目の前の小さな目標だけにすること。その先に大きな目標があることは、あえて忘れてしまうくらいでいるほうがスムーズに進んでいけます。
「自己評価」と「現実」のズレをなくす
ただし、こうしたやり方だと、大きな目標への道筋はきれいな一本道にはなりません。場合によっては、大きな目標とは関係のないことや間違ったことをしてしまうかもしれません。そうならないためにも、取りかかろうとしている小さな目標について、なるべく言語化あるいは数値化できるようにしておくといいでしょう。
「今、何ができるようになろうとしているの?」と自分に問いかけ、そのうえで「背理法を使った証明ができるようになった」「リスニングは7割できたけれど、文法はまだ4割しかできていない」などと確認しておくことによって、自己評価と現実のズレを最小限に抑えることができます。
僕たちの自己評価は、たいてい現実とかなりずれています。しかも、高いほうにずれがちです。「この人には勝てるな」と思う相手は、多くの場合同程度の実力だし、「同じくらいだろう」という相手は、自分よりもかなり上ということがほとんどなのです。こうした自分に対する過大評価が顕著になってくると、いつの間にか大きな目標から脱線した方向に進んでいってしまいます。
小さな目標を達成しながら、一歩ずつ大きな目標に向かっていくためにも、「今、何を目指していて、どれくらいできているのか」を言葉や数値で明らかにしておくことが大切なのです。
「ラクをする」から結果が出る
人間は自分に甘い評価を下すといいましたが、それは当たり前のこと。人は放っておけばラクな道を進み、楽観的な思考をしたがるものだし、それでいいと思います。だから、勉強に関しても「自分に優しく」は大事です。頂上が見えないような大きな目標を掲げたときには、少しでもラクできる道を選びましょう。苦難の道を行くことは決してプラスにはなりません。
「根性で一気に頂上まで登ろう」と砂利道も荒れた道も気にせずに自分を追い詰めるような方法は、長い人生でずっと続けられるものではありません。人間、尻に火がついて追い詰められると火事場の馬鹿力が出るものですが、スプリントの速度でマラソンが走り切れるわけはないのです。
追い詰められて出す120%の成果は、寿命を縮めて得たボーナスのようなものです。肩の力を抜いて70%くらいの力で取り組むことが大切だと思います。
たいていの日は、やる気なんて満ち溢れていないし、元気満タンで朝を迎えられる日もそんなに多くはありません。十分なモチベーションと万全のコンディションを揃えて勉強できる日なんて、せいぜい3割や4割くらいじゃないでしょうか。「頑張る」のではなく、「続けられる」強度で勉強に取り組むのが、残りの6割や7割の日を乗り切る秘訣だと思います。
それに何より、自分を追い込むようなやり方は、全然楽しくありません。人生において、楽しくないことをやる時間は、極力減らしたほうがいいと僕は思っています。そもそも勉強自体、「楽しみを見出す」なんてきれいごとはいえても、実際多くの場合、退屈で面倒なものです。なので、方法くらいは自分を甘やかして決めていいはずです。
・大きな目標より「小さな目標」に目を向ける
・小さな目標には「コツコツ式」と「日めくり式」がある
・少しでも「ラクできる方法」を選ぼう
<TEXT/水上颯>