24歳「見知らぬ男女の猥談を集めたい」男が見つけた新ビジネス
――佐伯さんといえば、現在の仕事の前は、漫画家・小説家などのエージェント会社、コルクで働いていましたよね。
佐伯:もともと、映画や漫画が大好きでした。学生時代に、自分で映画を撮ったこともあったんですけど、見事にヘボくて面白くないものが爆誕してしまった……。そこで自分は面白いクリエイターをサポートする側にはなりたいと思って、コルクの門を叩きました。
――コルクの代表は元講談社の佐渡島庸平さんですが、何を学びましたか?
佐伯:佐渡島さんからは永遠に怒られていましたよ。本当に永遠に。だけど、「お前は自我が強い」と言われ続けることで、「僕って、自分のこと大好きだったんだ」とやっと気づけたんです。その気づきがあったことで、「誰かのサポートに徹するよりも、自分で何か発信したほうが向いてるのかも」と感じ始めたんです。
コルクでは、コンテンツが読者のもとに届くように、本気で取り組むので、漫画のWEBプロモーション、Twitterや公式サイトの運用、書店営業、ポスターの制作、ファンイベントなど、担当編集としてすべて行なっていました。当時の「楽しむ人が増えるなら、何でもやっちゃえ!」という精神は今でも大切にしています。
――今の働き方にも、佐渡島さんの言葉や思想が反映されているんですね。
佐伯:そうですね。あとは、佐渡島さんの時間の使い方は僕に大きな影響を与えてくれました。佐渡島さんは1週間、昼も夜もとにかく多くの人と会っています。僕も、自分が気になる人とはできるだけすぐ会うようにしています。
世界は変わらなくいい、僕と僕が好きな人たちが楽しく生きられるなら
――仕事以外の日は何をしているのですか?
佐伯:自分にとって、今は「エロい話を集めること」「エロい人にいっぱい会うこと」が大切なので、友達や仕事仲間の紹介や、Twitterで知り合った人とDMでやりとりをして、実際に会って話を聞いてみるというのを繰り返していますね。
あと、最近は仲良しの友達とLINEで「もしも、一休さんが絶倫だったら」という大喜利をして遊んでいますね。
――一休さんが絶倫だったら……?
佐伯:「とりあえず、休憩していく?」は絶対に言っていますね、一休さん。あと、糸井重里さんみたいなコピーライターがAV業界にいたらどうなっていたのかな、とか妄想をLINEで送り合っています。
――エロデューサーとして、これからどんな仕事をしていきたいですか?
佐伯:これはまだ先の話ですが、ゆくゆくは人生におけるエロスの優先順位が高い人たちのコミュニティをつくろうと思っています。
1万人くらいの規模のコミュニティで、みんなが「こんな場所がほしかった!」と思えるものをひとつずつ作っていきたい。たとえば長期滞在ができるラブホだったり、エロいお化け屋敷とかエロい遊園地とか、やってみたいですね。
――今後どんな未来を描いていきたいですか?
佐伯:性体験や性癖って、その人固有のものだと思うんです。だから、人の面白い体験や性癖を知りたい。性癖がユニークな人や、人生でエロスの優先順位が高い人は、既存の尺度ではあまり評価されていなかったりするんです。
そういった、面白い人が集まってきてくれたら、最高ですよね。自分と世界の見え方が違う人と会えたら、とても嬉しい! 会社を大きくしたいとか、世界を変えたいとかそういう気持ちはないです。僕と僕が好きな人たちが楽しく面白く生きていけたら、それで十分。
<取材・文・撮影/ほかりゆりな>
【佐伯ポインティ(@boogie_go)】
1993年、東京生まれ。エージェント会社コルクを経て、2017年に独立。エロデューサーとして活動中。「猥談バー」や「猥談タウン回覧板」を手がける。実家住まいなので、親に検索され、親公認のエロデューサーとなる