年商100億円の農業ベンチャー。倒産寸前だった”大騒動”を乗り越えて
新時代の野菜として注目されている「豆苗」。スプラウトとも呼ばれ、他の野菜に比べて食物繊維やビタミンE、βカロテンなどの栄養素が豊富に含まれていることや、年間を通して価格が安定していること、簡単に調理できることが話題になっています。
5月16日放送の『カンブリア宮殿』(テレビ東京)では、豆苗で年商100億円を達成した農業ベンチャー・村上農園が特集されました。
まるで工場? 農業の未来のカタチ
多くの野菜は、季節や天候によって価格が大きく変動するのが一般的ですが、村上農園の作る豆苗は1年を通して価格がほぼ変動することはありません。
その秘密は、日本最大の豆苗農場にありました。同社の農場では、作業の多くがオートメーション化され、広大な敷地にぎっしりと機械が配置されています。自動で、最適な水分が与えられ、生育が終わったものは、ベルトコンベアに載せられて、出荷の工程に回されるのです。農場と言うよりも、工場といった雰囲気です。
このような機械化によって、1日7万パックが出荷されているのだそう。「同じ状態で、全てを生産できる状況にすれば、原材料も少なくてロスも発生しない」と村上清貴社長は番組の中で語ります。
さらに、全国に8か所ある生産拠点では毎日膨大なデータが取られ、その結果が本社と共有されています。そのデータを元にして協議などをすることができ、品質の安定したスプラウト作りを可能にしています。
これらの機械化と、データ化によって、天候や土地柄に左右されない野菜作りを村上農園は目指しているのです。
食中毒で倒産の危機に瀕していた村上農園
村上農園は、もともと日本で最大のカイワレ大根業者として知られていました。しかし、1996年に大阪で発生した学校給食へのO-157汚染による食中毒事件で、確たる証拠がないにもかかわらず、カイワレ大根が感染源であると報道されてしまいました。
その結果、カイワレ大根の生産者は大打撃を負ってしまいます。もちろん、村上農園も例外ではなく、売上は4分の1にまで激減し、非常に厳しい状況に立たされます。その窮地を救ったのが、試験的に栽培していた豆苗だったそうです。
村上農園は、アメリカでブロッコリースプラウトの研究をしていたジョンズ・ホプキンス大学とライセンス契約を締結し、抗酸化や解毒作用の高い成分が多く含まれた栄養価の高いブロッコリースプラウトの生産を開始します。これが後のブロッコリースプラウト栽培に繋がります。
現在も、本社内に専用の研究所を設け、成分を分析し、サンプルをアメリカに郵送し、さらなる品質の改良を続けているそうです。