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ブラック企業の「引き止め工作」でも、絶対に断られない退職理由とは?

学び

“バックレ”よりも得をする会社の辞め方とは?

「無断欠勤を続けてクビになるルートも頭によぎりましたが、冷静になって考えると、せっかくなら退職金をもらえるような円満な辞め方をしたほうが得なんじゃないかって考えたんです」

 その円満な辞め方とは、情けに訴えかける作戦でした。入社したての頃、父が倒れて要介護の状態になっていました。

「でも、僕は仕事にかかりっきりで母や兄弟に任せっきりにしてしまったんです。結局、最期の瞬間にも立ち会えず今でも後悔しています。そのエピソードを何回か上司に話して、同情してくれたのを思い出したんです。そこで、存命の母には本当に申し訳ないんですが、母を介護するから仕事を続けられないという設定で切り抜けようと思いました」

 上司は当時の石田さんがかなり苦労していた様子を覚えていて迫真の演技もあってか、しばしの無言のあと、退職を認めてくれたそうです。

あのまま会社に残っていたら……

自由

「僕は両親が晩婚だったので、15歳年上の上司の親の年齢とさほど変わりはありませんでした。そろそろ介護問題が脳裏にちらつく世代だからこそ、断固退社は認めないスタンスだった上司の琴線が揺れたのかもしれません」

 こうして石田さんは晴れて自由の身を手にすることに成功。現在、はブログの広告収益に加え、PVアップの施策をまとめた情報商材、読者との交流イベントなど手広く活動しています。

「不謹慎な理由というのは百も承知です。でもあのまま会社に残っていたら心身ともに摩耗して、ブログも続けられたか分かりません。そうなると本当に母親に介護が必要になったときに十分な貯金ができたかどうか……」

 とても難しい選択ですが、石田さんは今でも後悔はしていないそうです。

<取材・文/蒲須坂正男>

趣味はラジオを聴きながら散歩すること。ローカルな駅でふらっと降りて、口コミやレビューがない店に入るのが好きです

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