配信者に貢いだお金は取り戻せる?【弁護士に聞く男女問題】

浮気や不倫、DVなど、男女間の問題は、どんなに小さなきっかけでも深刻な事態を招くことがあります。特に法律的な側面で悩んでいる方にとって、どのような対処が適切なのか、また、トラブルが大きくなる前にどのように防ぐべきかという疑問が絶えません。本連載では、経験豊富な弁護士に、浮気や不倫にまつわる法律の基本や実際のケースに基づいたアドバイスを聞き、問題解決に向けたヒントをお伝えします。
今回は、「配信者への貸した金の返金請求」について、アディーレ法律事務所の池田貴之弁護士に解説していただきました。
配信者に貸した金を返してほしい
Q1. 個人的に応援していた配信者に「生活が苦しい」「機材を買いたい」などと頼まれて、お金を貸していました。返済の約束は口頭とLINEのやり取りだけなのですが、法的に返してもらうことは可能でしょうか?
お金を渡したこと、返還の約束をしたことがあれば、法的には約束の期限が過ぎると返還請求権が発生します。これは、口頭の約束だとしても法的には成立しています。
もっとも、口頭の約束だけだと、言った言わないということで水掛け論となってしまうため、書面での締結が望ましいです。したがって、LINEでのやり取りだとしても、適切な内容が残っているのであれば、証拠として使用することはできます。
贈与と貸付の違いとは?
Q2. スーパーチャットやギフトと違い、明確に「貸す」という意思を示していた場合でも、「支援だと思った」と主張されることがあります。このような場合、どこまでが“贈与”で、どこからが“貸付”になるのでしょうか?
贈与と貸付の一番の違いは、返還の約束があるかどうかです。貸付であれば当然変換の約束をしているはずですので、この点があれば貸付として評価され、貸金の返還請求権という形で請求していくことができるかと思います。
返済がない場合は訴える?
Q3. 貸した金額が大きく、返済がないまま関係が途絶えています。返金を求める場合、訴訟以外にどんな手段がありますか? 内容証明の送り方や注意点も教えてください。
通常は、いきなり訴訟ではなく、相手方に対して電話や書面にて、返還を迫るということが一般的です。その際、「返さないと勤務先に言う」などと発言してしまうと、「脅迫」と捉えられてしまいかねないので気を付ける必要があります。
内容証明については、書面の一類型として、形式も郵便局によって決まっており、相手方に対して事実上のプレッシャーを与える意味では有効です。法的には、郵便局という第三者に書面の内容を証明してもらう機能から、時効が過ぎてしまうのを延長する(6カ月間の延長(民法150条1項))ことができます。
内容証明の内容としては、端的にいつ、どこで、いくらを貸し付けたのかの事実及び返還の約束をして、その期限が過ぎているということを明確に主張し、直ちに返還してほしい旨を主張するのがよいでしょう。
ここで思いの丈などを書きすぎてしまうと、相手も意固地になって返答してこないことも考えられますので、まずは相手にきちんと返還請求している旨を伝えるにとどめるのがよいかと思います。