bizSPA!

両想いビジネス研究所所長に聞く「成果」と「幸福」を両立させるコンサルの新しいかたちとは?

「両想いビジネス研究所」所長の松山智弘さん

変わった企業名、独特な肩書き。どんなビジネスをしているのか気になる存在、それが「両想いビジネス研究所」所長の松山智弘さんです。SNSで炎上経験があることから「ちょっと尖った人?」と思う人もいるかもしれません。しかし実際は、働く人と企業の“両想い”を目指す、等身大で誠実なビジネスの実践者でした。そんな松山さんに、キャリア観から自己ブランディング、SNSの付き合い方まで、若手ビジネスパーソンに役立つヒントを聞きました。

「好きで得意で儲かる」分野を選ぶのが肝心

「両想いビジネス研究所」所長・松山智弘さん

――20代のうちにやっておいてよかったことは何ですか?

松山:カフェ巡りです。オシャレなカフェでのんびり過ごしながら、「なぜこの店は流行っているのか?」「なぜリピートしたくなるのか?」と無意識に観察していました。そうした嗅覚や洞察力が、今のコンサルの仕事にすごく活きています。

――“勝てるフィールド”の見つけ方を教えてください。

松山:「好きで得意で儲かるか」を基準にしています。好きなことには人を突き動かす力があり、それが得意であれば、自分のスペックを最大限発揮できます。ただし、社会が必要としていなければ儲かりません。だから「好きで得意」なことの中で、最も「ありがとう」と言われる分野を選ぶのが肝心です。

ファッションが“第一印象”と自信に効果的

――見た目を磨くことがビジネスにどう影響しますか?

松山:ファッションスタイリストにコーディネートしてもらったら、明らかに成約率が上がりました。コンサルティングのような無形サービスでは、「スキルがありそう」「相性が良さそう」と思ってもらうことが重要です。その“第一印象”にファッションは効果的。

さらに、鏡で自分を見るだけで気分があがりますし、周りからも「かっこいい」と言われる機会が増えるので、自信が持てます。不安そうな人より自信満々に見える人に、仕事は任せたくなるものです。

――スーツや髪型など、勝負の日のこだわりはありますか?

松山:私は童顔なので、実際の年齢より若く見られることが多く、頼りなく見えると言われがちです。だから、勝負の日は必ずロエベの伊達メガネをつけて知的な印象を出すようにしています。

それから、「シンプルで質の良いものを長く大切にする」という見た目のメッセージも意識しています。クライアントとの長期的な関係性を重視する「両想いビジネス」と矛盾しないようにするためです。

SNSでは本来の目的を見失わないこと

「両想いビジネス研究所」所長・松山智弘さん撮影中

――SNSでの発信で、仕事にどんな変化がありましたか?

松山:「最初からお願いする気満々」のお客様が増えました。見込み客にとって、コンサルや士業って違いがわかりにくい業種ですよね。だから、「商工会議所で連載しています」とか、第三者から認められている実績を出すと、信頼されやすいです。

――自分を売り込むのが苦手な人はどうしたらいいでしょうか?

松山:厳しい言い方かもしれませんが、自分を売り込まないのはプロとしての責任放棄です。あなたを必要としている人がいるのに、出会えずに困っているかもしれない。それは、すごくもったいないことです。「なぜ抵抗感があるのか」という問いから逃げず、真剣に向き合ってほしいと思います。

――炎上した経験があると伺いましたが、当時はどのような心境でしたか?

松山:当時は、数えられないほど本当に多くの人から誹謗中傷の言葉を浴びたので、正直、死にたいと思うほど苦しかったです。でも、信頼している経営者仲間やクライアントに救われて踏みとどまることができました。その経験を通して、「両想いビジネス」のコンセプトが生まれたので、今では、あのつらさにすら感謝しています。

――SNSとの向き合い方には変化がありましたか?

松山:炎上の原因を突き詰めると、成果を求めすぎて、自分の本心をないがしろにし、クライアントを雑に扱ってしまったことでした。だから今は、自分の本音に正直に、等身大の発信を心がけています。そして、その等身大の私を選んでくれるクライアントと、長く付き合っていけたらうれしいですね。両想いのお客様と一生涯のご縁になるためには、まず自分自身と両想いになることが重要だと考えています。

――SNSを活用するうえで、若手が気をつけるべきことは何ですか?

松山:「なぜこのSNSを始めたのか」という原点を常に忘れないこと。フォロワー数や“いいね”は、売上アップの「十分条件」ではあっても、「必要条件」ではありません。承認欲求に振り回されて、本来の目的を見失うと信頼を落とすリスクが高まります。

ビジネスでの成功は恋愛に通じる

――“稼ぐ力”をつけたい若者に最初に勧めたいことは?

松山:恋愛してください(笑)。友人や家族などでも良いですが、好きな人と過ごす中で、「どうすれば自分も相手も心地よくいられるか?」を意識することが大事。ビジネスでも、相手を喜ばせながら自分も幸せになることが成功の秘訣だからです。

――今後“伸びる人”の共通点は何でしょうか?

松山:素直さですね。やりたいと思ったことに即行動できるかどうか。「今は無理」と言い訳する人は伸びません。「やりたい」に素直になり、「どうすればできるか」を考える習慣を身につけることが重要です。

――最後に、起業で失敗する人の特徴は?

松山:意外かもしれませんが、“ポジティブ思考に逃げる人”です。現実から目を背けて、「なんとかなる!」と根拠なく信じると、失敗から学べません。淡々と現実を受け止め、冷静に改善する力が、成功には欠かせません。

働き方に正解はない時代。だからこそ「自分の本心に素直に向き合いながら、両想いの相手と長く信頼関係を築く」という松山さんのスタンスは、多くの若手ビジネスパーソンにとって新しいヒントになるのではないでしょうか。

松山 智弘(まつやま ともひろ)
両想いビジネス研究所 所長
1987年大阪生まれ。関西大学工学部システムマネジメント工学科を4年連続で成績1位、首席卒業。卒業後、Webマーケティング会社に入社。広告運用担当として100社以上を支援し、試用期間中に年間MVPを受賞。美容整形外科・審美歯科を運営する企業に転職後は、Webマーケティング部長として月商1.3億円の事業を3.5億円超へと成長させる。
独立後はコンサルタントとして順調に業績を伸ばす中、クライアントとの小さなトラブルがきっかけでSNS炎上に遭い、精神的に追い詰められる経験をする。その後も「成果を出す」ことに執着し、働きすぎた結果、3カ月以上の高熱に悩まされ、売上がゼロに。
こうした二度の挫折を経て、「両想いビジネスこそが、成果と幸福を同時にもたらす」と確信。現在は「自分自身と両想いになる」をコンセプトに、経営者が自らの本心を大切にしながら、長時間労働を是正し、かつ業績を高めるための思考・習慣・マーケティング戦略を提案している。
Yahoo!プロモーション広告プロフェッショナル認定。これまで10年以上で500件以上のコンサルティングに携わり、2022年から約4年間は茨木商工会議所の専門家相談員としても活動。著書に『明日から心がラクになる 今よりも10倍幸せになる生き方』(共著、みんなの出版社)がある。

●公式ホームページ:https://mr-biz-rc.com
●X(旧Twitter):https://x.com/matsutomo1426

おすすめ記事