半数が知らない「フリーランス新法」とは?副業者も関係ある法律をわかりやすく解説
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副業にも、いろいろな形がありますが、フリーランスのように、業務委託の形で副業をする(予定している)人もいるはずです。そのような場合、知っておきたい法律が「フリーランス新法」。今回は、2024年11月1日に施行された同法の認知度に関する調査を紹介しつつ、どんな法律なのかを振り返ります。
半数以上の人が「新法」を知らない
「フリーランス新法」の正式名称は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律です。副業をするにあたって覚えておきたい法律。でも、実際問題として、どの程度の認知度があるのでしょうか。
副業人材マッチングサービス〈lotsful〉が実施した「副業に関する定点調査(2024秋)」には「フリーランス新法を知っていますか?」との問いがあります。回答者の割合は次のとおりでした。
- 内容を知っており、理解している(18.9%)
- 名称は知っているが、内容はなんとなくしか知らない(18.6%)
- 名称は聞いたことがある程度で、内容については全く知らない(19.7%)
- 聞いたことすらない(42.7%)
半数以上の人が詳しく知らない現状があります。一体、どんな内容なのでしょう。
フリーランスを守る法律
「フリーランス新法」はざっくりと言えばフリーランスを守る法律です。業務の受注によって成り立つフリーランスの働き方ではどうしても、発注事業者より弱い立場に置かれます。
そこで、フリーランス(正確には「特定受託事業者」)を守ろうという趣旨で、同法が施行されました。業務委託による副業を考えている人にとっては背中を押してくれる法律でもあります。
法律のポイントはいくつか挙げられます。いずれも、フリーランスに対して業務を委託する側に課せられる義務です。内閣官房が出すリーフレットを簡潔にまとめると下記のようになります。
- 1.業務委託契約をはっきりと示す(※業務委託をした場合、発注側は、業務内容、報酬額、支払期日などを示さなければいけない)
- 2.報酬支払期日の設定と支払い義務を怠らない(※物品受領日から60日以内のできる限り早い日を支払期日に設定し、期日内に支払わなければいけない)
- 3.立場を利用した不当な行為は禁止(※1カ⽉以上の業務委託をした場合、受領拒否、報酬減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な利益提供要請、不当な内容変更・やり直しは禁止)
- 4.募集情報を正確に表示する(虚偽表示や誤解を招く表示の禁止、情報の正確性と最新性を維持しなくてはいけない)
- 5.育児・介護と業務両立への配慮をする(※6カ⽉以上の業務委託の場合、申し出に応じた納期調整や業務形態変更、配慮できない場合は理由を説明しなければいけない)
- 6.ハラスメント対策の実施(※ハラスメント禁止方針の周知、相談体制の整備、迅速かつ適切な対応を発注側が求められる)
- 7.中途解除・契約更新拒否時の予告と理由を開示する(※6カ⽉以上の業務委託の場合、30日前までの事前予告、理由開示請求への対応をしなければいけない)
要するに、契約時にあいまいになりがちな部分を、はっきりとしないと駄目だよと義務を課したのですね。
身近な例で言えば、フリーランスで活動する筆者の場合、ある出版社での執筆時に毎回、業務内容、報酬額、支払期日などが示された文書が発行されるようになりました。
編集部の側から「手間が増えて大変」と笑い話で言われるくらい長い付き合いなので、別に示してもらわなくてもわかっている内容なのですが、初取引の相手とは、あいまいな部分が多いので、わかりやすいやり取りだと思います。
「フリーランス新法」は副業者にも関係あり
この「フリーランス新法」、一部の副業者にも関係があります。
副業と言えば、本業の会社とは別の会社に雇用されて行うケースが多いですが、同時に、本業の仕事を持ちながら(本業の会社に雇用されながら)業務委託契約の下で副業を行うケースもあるはずです。
〈フリーランス白書2023〉によると、フリーランスとは基本、開業届を提出した個人事業主、および小さな(法人成りした)企業の経営者が、発注者との間で業務委託契約を結んで行うビジネス形態を指すとされています。「独立系フリーランス」と呼ばれる人たちでもあります。
しかし、副業の中でも、被雇用者でありながら個人事業主として開業届を出し業務委託契約を結んで業務を行う人、および被雇用者(本業の会社で雇用された立場)でありながら、開業届を出さずに「すきまワーカー」として業務委託契約を結び業務を行う人たちもいます。
そのような人たち(雇用×個人事業主、および雇用×すきまワーカー)は「副業系フリーランス」とも呼ばれ「フリーランス新法」が適用される可能性が高いです。
ただ、同じ業務委託でも、業務時間や場所が指示されている、会社内の指揮命令系統の下で働いている、会社の備品やシステムを使い業務内容も細かく管理されているなど、自由度が極めて低く、労働者のような実態で遂行する業務の場合は、この法律は適用外になるとされています。
その辺の細かい情報を含めて、副業を考えている人はぜひ、理解しておきたいです。
[文/坂本正敬]
[参考]
※ 副業に関する定点調査(2024秋) – パーソナルイノベーション
※ フリーランスの取引に関する 新しい法律が11⽉にスタート︕ – 内閣府
※ フリーランス白書2023 – :一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会