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月収1万円未満が多数!人気の副業「動画制作」のリアルな収入事情

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月収1万円未満が多数!人気の副業「動画制作」のリアルな収入事情

近年、生活費や将来の不安に備えるため、副業を希望する人が増加しています。また、収入を補うだけでなく、新たなスキルを身につけたり、趣味を活かしたりする場としても注目されているようです。そんな副業に関する各種の調査を紹介するbizSPA!の連載。今回は、人気の動画制作に関する副業の収入実態を紹介します。

やってみたい副業1位は動画制作

まず、動画制作に関する副業は、どれほど人気なのでしょうか。もちろん、調査によって結果は大きく異なりますが、動画づくりが人気の副業として第1位に挙げられている調査結果もあります。

例えば、2022年(令和4年)にMDM合同会社が実施した「テレワーク環境での副業に関するアンケート(回答者856人)」です。「やってみたいと思う副業」として、

  • 1位・・・動画撮影・動画編集(40.1%)
  • 2位・・・プログラミング・開発(18.4%)
  • 3位・・・記事執筆・翻訳(14.6%)
  • 4位・・・ホームページの制作関連(11%)
  • 5位・・・イラスト・漫画制作(10.7%)

が回答に挙げられていました。

もちろん、選択肢そのものが「クラウドソーシングで比較的案件が多い副業」という基準で用意されているので、一定の条件下での1位ではありますが、多くの人の潜在的な思いとそれほど結果は離れていない印象を受けます。

副業ユーチューバーは全体の85.8%との数字も

ただ、同じ動画制作でも、受注業務として引き受ける動画づくりもあれば、自分自身がつくった動画をYouTubeなどに自分でアップロードするオリジナルの動画づくりもあるはずです。

それぞれ、どの程度の収入を実際、副業としてやっている人たちは得ているのでしょう。

まず、他人からの依頼を引き受けるのではなく、自分自身でつくった動画(映像コンテンツ)を自分の責任・名義でアップロードする動画づくりの収入実態を紹介します。

自分自身でつくったオリジナル動画を自分の責任・名義でアップロードする動画づくりと言えばYouTuber(ユーチューバー)が真っ先に思い浮かぶと思います。

YouTuberの収入について、次世代YouTuber紹介メディアを展開するユーチューバーNEXT(本社:東京都千代田区)の実施したアンケート調査が参考にあります。

2019年(令和元年)と少し古い調査結果になりますが、YouTuberを対象にした同調査によると、有効回答数である817人のユーチューバーの月収平均は、専業・副業に関係なく以下のようになっています。

  • 1位・・・1~5万円未満(233人)
  • 2位・・・1万円未満(195人)
  • 3位・・・10~30万円未満(105人)
  • 4位・・・5~10万円未満(98人)
  • 5位・・・30~50万円未満(29人)

ちなみに、専業ではなく、YouTuberを副業としてやっている人は全体の85.8%と明らかにされています。

言い換えると、副業YouTuberの大多数が月収1万円未満、1~5万円未満のゾーンに入ると考えられます。

他には、オリジナル映像コンテンツを自分の責任・名義でアップロードする動画づくりとしてライバー(ライブ配信者)という形もあります。

ライブ配信アプリ〈17LIVE(イチナナ)〉を運営する17 Media Japan(本社:東京都港区)の2020年(令和2年)実施の独自調査によると、同サービスを利用して収入を得たライバーのうち、3万円を上回る報酬を得たライバーは1万2,303人、6万円以上の報酬を得たライバーは8,430人とされています。

当然、この金額では生活できないので、YouTuberの専業者の少なさと同じように、ライバーの大半も専業者ではないと予想されます。

もちろん、副業YouTuberでありながら月に100万円の収入を超えた経験のある人や、AIを使った動画制作で月2万ポンド(360万円くらい)を稼ぐ副業者などが国内外のメディアで紹介されています。

しかし、その手の人たちは例外です。いずれも少し古い調査結果を基にした判断ながら、オリジナル映像コンテンツを公開して得られる副業収入は5万円未満が相場と予想されます。

動画編集の副業収入は5万円未満に集中

一方で、業務として動画づくりを受注し、副業としてやっている人たちはどの程度稼いでいるのでしょうか。

ケーエス(本社:東京都新宿区)が全国の男女100人に対して実施した動画編集の副業収入に関するアンケート調査によると、平均月収は5万円未満に回答が集中していると分かります。

  • 1位・・・5万円未満(74人)
  • 2位・・・5~10万円未満(18人)
  • 3位・・・10~25万円未満(7人)

回答者全員が、動画編集の仕事を業務として受けている副業者たちだけに限られているかは不明です。

しかし「単発の仕事が多い」「案件の取り方がわからない」といった声が、調査回答者たちの悩みとして同調査内で確認できる点を見ても、動画編集の業務受注を副業としてこなしている回答者も多く含まれていると予想されます。

その意味で、業務として受注する動画づくりでも「月の収入額は5万円未満」という副業者が主流派だと予想されます。

ただ、月に数万円でも、動画づくりのノウハウを副業で身に付けられる点はメリットとして確実に存在するはずです。

総市場規模が拡大し続ける動画コンテンツビジネスですし、動画制作市場は2025年(令和7年)に1兆円を超えるという予測もあります。

メディアに取り上げられるような成功者になる道も可能性としてありながら、ちょっとした副業収入と共に、成長分野である動画づくりで役立つスキルまで手に入れられる動画制作です。悪くない副業の1つといえそうですね。

[文/坂本正敬]

[参考]
2024年度の動画コンテンツビジネス総市場規模(主要5市場計)は前年度比108.9%の9,880億円を予測~​法人需要に加え、「1億総クリエイター時代」に伴う個人需要も増加し、成長継続の見通し~ – 矢野経済研究所
動画制作市場:規模、成長率、トレンドを徹底解説!未来を担うビジネスチャンスを探る – SHIRO
テレワーク環境での副業に関するアンケート – MDM合同会社
「動画編集の副業はいくら稼げる」についてのアンケート調査 – 合同会社ケーエス
収入・副業に関するアンケート調査 – ユーチューバーNEXT
ライバー(ライブ配信者)の収入実態を独自調査 – 17 Media Japan

〈bizSPA!〉元編集長。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。国内外の媒体に日本語と英語で寄稿し、翻訳家としては訳書もある。技能五輪国際大会における日本代表選手の通訳を直近で務める。東証プライム上場企業の社内報や教育機関の広報誌でも編集長を兼務しており、広報誌の全国大会では受賞経験もあり。

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