有休は8週間!男性の育児休業7日間は義務【世界の働き方事情・フランス】
海外在住ライターや海外で働いた経験を持つライターが、各国の仕事事情を紹介するシリーズ「世界の働き方事情」。今回は、意外と知られていないフランス人の休み方を現地在住ライターが紹介します。
“バカンス大国”と呼ばれるフランス。フランス人にとってバカンスは人生を豊かにする大切なこと。今回はそんなフランス人の休み方について見ていきたいと思います。
週休3日の普及度が高い
フランスでは正社員=フルタイムということは必ずしもイコールではありません。就業時間も個人によってさまざまで、正社員でもmi-temps(パートタイム)で雇用契約を結ぶ人が少なくはないのです。
フランスでは日本のように「パートタイム」という雇用形態は存在せず、例えば週2勤務であっても正社員契約を結ばなければなりません。特に小さい子どもがいる場合は、週休3日という雇用契約を好む人も多くいて、企業側も受け入れることがほとんど。フランスの小学校は水曜日が休み、または午前中だけ学校があるので、子どもと一緒に過ごすために週休3日を選択する人も多いのです。
有休が8週間も!?フランス人の休みの取り方
次にフランス人の休みの取り方についてみていきたいと思います。「バカンス」というフランス語を日本でも耳にすることがあるのではないでしょうか? バカンスとは日本語で休暇を意味します。「次のバカンスはどうするの?」などと、必ずといっていいほど会話の話題としてあがる言葉です。もちろん休みの取り方も日本とは異なります。
フランスの年間休日数は、平均で145日となっています。具体的には以下のようになります。
週休日104日
祝日11日
有給休暇30日
フランスでは最低でも年間30日の有給休暇が法律で保障されており、有休の消化が義務づけられています。驚きですが、有休習得率は100%といわれています。
フランスでは日本のお盆やお正月、ゴールデンウィークのように企業が一斉に休みになることはありません。休暇は有休を取ることで発生します。有休を取る時期や期間もさまざま。夏に有休を3〜4週間取る人もいれば、ハイシーズンは避けて、あえてオフシーズンに有休を取る人も多くいるのです。
またフランスは、前回の記事でお伝えしたように現在労働時間は週35時間ですが、以前は週39時間で運営していました。その名残で多くの企業は現在も週39時間で運営しており、その超過分を補うために、30日の有休とは別にRTT(労働時間短縮)と呼ばれる代休を取ることができます。企業によってはRTTが3週間になるところもあり、なんと年間8週間の休暇を取るフランス人もいるのです!
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手厚いフランスの育児休業
フランス特有の休暇制度といえば、男性の育児休業を挙げることができます。2021年に男性の育児休業が義務化されました。男性は最大で25日間育休を取ることができ、そのうち7日間育児休業を取ることが義務づけられています。義務化以前は男性の育児休業の習得率は70%ぐらいといわれていましたが、義務化された現在は男性の育児休業は当たり前という考え方が浸透しています。
フランス人は休み方が上手とよくいわれていますが、そもそも根底として休暇が義務付けられているからこそ、自分の生活スタイルに合わせた休暇を組むことができるのではないかと感じました。休暇が義務化されることによって、会社も対応せざるを得ないからです。
次回はフランスの副業事情についてお伝えします。
[参考]
6. 労働時間・労働時間制度 6-2年間休日数 データブック国際労働比較2017(PDF)
[文/北川菜々子]
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。