若者は“努力アピール”をしがち?隠すのが美徳?世代間ギャップの背景を識者に聞く
若者の価値観は時代によって大きく変化するが、上の世代は得てしてその価値観を理解できず眉をひそめるものだ。
2022年8月下旬、「はてな匿名ダイアリー」のとある投稿が物議を呼んでいた。中年男性と思われる投稿者が<高校生の息子が見てる受験系のYouTubeとか、ファッション雑誌とか、息子や娘の通ってる塾の合格体験記とかを見たりすると強烈なむず痒さを感じる。会社の若手にも感じる>と綴っている。
つまり、若者が自身の努力や頑張りをあけすけなく周囲にアピールすることに違和感を覚えているというのだ。
投稿に対して賛否両論が
この「はてな匿名ダイアリー」投稿に「20世紀まではイチローや中田英寿のようにめちゃくちゃ練習していたとしてもそれを表に出さないことが日本人には美徳とされた」とかつての価値観に理解を示す声もあれば、「なんだそのクソダサい思考は。努力を素直に言える今の方がよっぽどいい」と、過去の価値観に対する批判的な声も散見された。
実際に若者の価値観は変化しているのだろうか、そもそもなぜ“陰ながらの努力”が良しとされていたのだろうか。『先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)の著者であり、金沢大学融合研究域融合科学系教授の金間大介氏に話を聞いた。
「表に出さない人」が評価された時代
まず、かつて「陰ながら努力すること」が好まれていた理由を尋ねてみると、金間氏は「断言するのは一般論的にも学術的にも不可能です」と前置きしつつ、こう答えてくれた。
「まさにイチローさんや中田英寿さんに対するコメントがあった通り、どれだけ練習してもそれを表に出さない空気は、現在の40~50代には馴染みのものと思います。
実際、それはプロスポーツ選手だけではありません。例えば、木村拓哉さんは大変ストイックで努力家であることはよく知られています。その努力を隠そうとしているわけではありませんが、『それを努力とは思わない』『職業人として当然の行為』と捉えているはずです」